みなさんはこんな経験はありませんか?
電車の窓から見えた景色が妙に気になって、次の駅で降りて引き返してみる。
これ、私も何度か経験があります。
引き返して「なんだ、ただの田舎じゃん。」とガッカリすることも多いのですが、行きずりの景色ってのは何割増かきれいに見えるものですね。
今日はそんなお話。
数年前のこと。
私は最寄り駅の改札を出たところに立っていました。
夕方頃でしたかねえ。
待ち合わせだったか息切れして立ち尽くしていたかそのどちらかだったんでしょうけれど、ローカル駅のことで人の数は疎らでした。
そしたら突然声を掛けられたのです。
「あのぉー、BOSSさんですよね?」
私のことをBOSSと呼ぶのはビリヤードの人しかいません。
彼女はニッコリ笑うと、改札を抜けて駅の中に入って行ったのです。
そうなんです。
女性だったのです。
ブログのおかげで、球屋で知らない人から声を掛けられることはちょくちょくありますが、球屋以外の場所ではまずありません。
14年ブログをやっていて、この1回だけのような気もする。
私は驚いてしまって、ほぼポカーンとしていたのです。
これが騒動の始まりでした。
彼女の後ろ姿が見えなくなった時、私は大事なことに気がついたのです。
「あれ?・・・」
見覚えのない人だったのです。
狭いビリヤード村ですので大抵の人は一度や二度は会ったことがあるはずで、女性は特に少ないですから一度でも会っていれば見覚えくらいはある。
それが全く心当たりがなかったのです。
さてそれから、私は日ごとに彼女の事が気になってきました。
駅の構内で女性の方から声を掛けるのはよほど確信がなければできないはずで、だって、人違いだったら恥ずかしいですからね。
それなのに私の方では見覚えがない。
「うーむ、どういう事だろう・・・」
喉の奥に小骨が刺さったみたいで、どうにもスッキリしない。
そうだ! きっと彼女はJPAで会った人だろう。
そう考えた私は、JPAに参加している友人に尋ねてみることにしました。
捜索活動です。
「キミのチームに最近入った女性はいる?」
「女性はいますけど、BOSSさんの知っている子ばっかりですよ。」
同じ事を何人かに聞き女性の特徴やいきさつを説明したのですが、これといった情報はありません。
私は益々気になってきました。
ところが・・・
そうこうしているうちに、何人目かの友人の一言が私のテンプルを直撃したのです。
一目惚れ?
もしかしてこれは、新パターンの恋なのか?
恋をしましょう 恋をして
浮いた浮いたで 暮らしましょう
50を過ぎたおっさんがどこの誰かもわからない女性に恋をする。
ああ、マヌケ過ぎてドラマにならん。
私は捜索を打ち切りました。
彼女の正体は、今もわかりません。
大波乱の展開を期待していた方ごめんなさい。
伊藤左千夫の「野菊の墓」や太宰治の「華燭」に迫る美しい話をお届けしました。
『本日の結論』
恋をしたけりゃブログを書け。
ところで昨年の夏だったか、最寄り駅を出たところで楽器の演奏をしている人がいました。