前回のつづきです。
見て盗むことがどれほどむずかしいか、本日はそのあたりを書いてみようと思います。
まずは、少し前の記事の再掲です。
右側のかたまりを壊すのに、これでは失敗ですね。
こんな感じで壊すにはどうすればいいのか。
下に動画を2つ並べてみました。
手球の動きが違うってことは撞き方が違うわけですが、どこが違うのかわかりますか?
じつはこれ、前回掲載した後に3~4人から質問されましてね。
「あの球って、どうやるんですか?」
「えっ? わからない? うふふ、ナイショ」
勝ち誇ってジラしてやりましたが、いつまでもジラしていると嫌われるのでタネ明かしをします。
『今夜のタネ明かし』
じつは、レストを短くしているだけです
上の動画「普通の引き」はこれくらい。
下の動画「早い引き」はこれくらいですかね。
ちょっと短いでしょ?
(以上、説明おわり)
それはいいんですけどね。
違いがわかりやすいように動画を2つ並べたのに、それでもわからないんですから、普段の対戦で見て盗むなんて到底無理ですよ。
まったく・・・
どこ見とんじゃ!!
まあでも、見て盗むのは無理って書いたら本日の記事は終わってしまいますな。
うーむ・・・
ちょうどレストの話になりましたので、少しこのあたりの話をしてみます。
私は球によってレストの長さをけっこう変えるタイプですが、それはレストを短くした方がいい場合があるからです。
というわけで、短いレストの効能でも書いてみようかいの。
(註:ここから先はBOSS流ですので、体質に合わない人は進まないでください)
○引きの角度が違う
よくあるスクラッチですね。
私は少しレストを短くしています。
○キューミスしにくい
この球。
入れる事も引く事も問題なく、怖いのはただ一つキューミスです。
私ね。
レストを短くした方がキューミスが少ないように思うんですけど、どうですか?
球を撞くとシャフトの先っぽがビヨヨーンってなりますが、レストが長いのと短いのとでビヨヨーン具合が違っていて、それが関係あるのかなと思ったりしています。
ただし、オープンレストは私自身がほとんど使わないのでよくわかりません。
これなんかもそうです。
右下を撞いて殺すわけですが、角度によっては抜き気味に撞く必要もあってキューミスの多い球です。
この球には何度も痛い目に会いましたので、けっこうレストを短くしています。
○細かいコントロールをしやすい
3番から引いて手球をラック内に止めたい場面ですが、こういう細かいコントロールを求められる球もレストを短くしています。
14-1を始めたばかりの方に説明しますと、上図で手球がラック内に残るとキッチンに移動します。
そこから、
ズッガーン!!
これはですね。
普通が10引けるとすれば、レストを短くすると5しか引けない。
引ける距離が半分になれば誤差も半分になるのではないか、という単純な考えでやってみたところ、結果がまずまずなのでそのまま採用しています。
これなんかもそうです。
これもそう。
なかなか使い道が多くて、私としては重宝しております。
以上。
球の説明はここまで。
いよいよ本日のテーマ「見ても盗めん」です。
私は今までに、JPAに通算3年くらい参加しておりました。
計算してみますと、その間にレストを長くしたり短くしたりで3000球以上撞いたはずなんですけど、この球を盗んだ人は一人もいないんですな。
3000球ですよ、3000球。
これが「見て盗め」の現実です。
私はプロの試合を観戦する時、そうですねえ・・・例えば高橋Pはレストの長さをけっこう調節するタイプだと思っていますので、彼の試合はその部分を重点的に観察します。
それで、
「この球はオレだったらちょっと短くするな。」
そう予想して、予想通りレストを短くしてくれると、
「よし! この球は使えるぞ!」
大きな自信になります。
ただし、これは新しい球を見て盗むのとはチト違う。
さて、見ても盗めなければ教わるしかありません。
私もエラそうな事を書いていますけど、じつは見て盗んだのはせいぜい2割・・いや、それ以下かも知れん。
それ以外は全部教わったのです。
かつての「ビリヤード=賭け球」の時代には「教えたら損する」という考えの人が多くて、そんなに簡単には教えてもらえなかったんですけど、私は恵まれていて周囲のいろんな人から本当によく教えてもらいました。
そこで本日は、次から次へと新しい球を教えてもらうためのテクニックをご紹介します。
「教えたがり」の反対の「教えられたがり」の極意です。
これ、上達するためには案外大事なところなんですよ。
「教えられたがり」の極意。
それは、教わった球を使うことです。
教えてくれた人と次に会った時、何がなんでも教わった球を使う。失敗しても使う。
これです。
これが人付き合いと言いますか、世渡りと言いますか、上級者は他人の球をよく見ていますのですぐに気が付きます。
「おっ、この前教えた球をさっそく使っておるな。」
「うい奴じゃ。」
うれしくなって、また新しい球を教えてくれます。
本当ですってば。
私がそうですから。
ところが、これと正反対の人がいるんですな。
どういう訳だか、教えても教えてもその球を使わないんですよ。
「おっ、この前の球を使う絶好の場面だぞ。行けー!!」
心の中で声援を送っているのに、ヤモリみたいに台にへばりついてイレイチしておる。
何と申しますか・・・教える気にならん。
このタイプの人に話しかけられたら、私は元気なく答えるのです。
「見て盗め。」