2015年の世界金融市場を振り返る(1) | 香港IFA玉利の海外投資夜話

2015年の世界金融市場を振り返る(1)

2015年もうあとわずか。

今年の世界経済は
ギリシャ問題の再燃による
不穏な雰囲気で始まった。

財政健全化のための
緊縮財政政策に反対を唱える
急進左派連合が1月の総選挙で
勝利して生まれたチプラス政権と
欧州連合との金融支援問題が
こじれてギリシャの債務不履行と
EU離脱が目前にまで迫った。

結局、
6月の交渉期限切れ後に
ギリシャで国民投票が行われ、
緊縮反対が賛成多数を
占めたにもかかわらず

ギリシャ政府は一転EUが求める
緊縮財政の提案を受け入れて
EUR860億の支援を得て
欧州連合にとどまることになった。

デフォルトによる
金融市場の混乱を回避できた
という見方ができる一方、
ギリシャおよび南欧諸国の
財政問題は依然として残っており、
問題の先送りにすぎないとも言える。

フランスでは
1月と11月にイスラム過激派による
大規模なテロが発生、
その震源となったシリアでは
アサド大統領政権、反政府勢力、
自称イスラム国、クルド人などの
勢力争いで情勢不安が続いており
その難民がヨーロッパ諸国に
押し寄せるという混乱を生んでいる。



米ドル対ユーロレートは
年初のEUR1=USD1.21から
最高でUSD1.05程度までゆき、
現在は約USD1.09である。

日本円ユーロのレートは
年初のEUR1=JPY145から、
最高でJPY126程度までゆき、現在はJPY131。

ユーロはこの一年に
米ドルと日本円に対して
10%程度下落したことになる。

先行きな不透明な欧州。

その一番の貿易相手の
中国の迷走も著しかった。

そもそも
その数字の信憑性も疑わしいが、
中国が発表した2015年7月-9月の
経済成長率は年率換算で6.9%。

習金平政権が
目標として掲げているのは
年率7%の経済成長、
それをわずかでも下回る発表をしたことで
状況が相当悪いということを
公式に認めたように思える。

6月下旬と8月下旬の
上海市場の株価大暴落は
世界の株式市場を揺るがした。

8月11日からは
3日間にわたって人民元の
切り下げをおこなったと思ったら
その後すぐに切り上げに
転じるとという妙な動きがあり、
11月末には人民元のIMF(国際通貨基金)の
理事会でSDR(特別引出権)の構成通貨入りが決まった。

これは人民元が
米ドルや日本円などと同じ
国際通貨として生まれ変わることを
求められるものであると考えられる。

米ドル対人民元レートは
年初のRMB1=USD0.161から
現在の約USD0.154、
人民元は米ドルに対して10%の下落となった。

上海総合株式指数は
年初の約3200から6月12日に
高値の5178をつけたあと暴落し、
8月28日は2850の安値を記録、
現在は3500前後で推移するという乱高下を見せた。