経済成長と水商売の女たち | 香港IFA玉利の海外投資夜話

経済成長と水商売の女たち

私が上海で働き始めた1990年代半ばは、
中国が急速な経済成長をはじめたときでもあった。

当時の仕事は接待も多く、
だいたい週に1~2回は会社内外のお客さんを
食事のあとナイトクラブやKTVへ連れていったため、
ホステスなど業界の女性に知り合いが多かった。

あれから10数年が経ち、
たまにそうした女性たちの
消息を聴くことがある。

これがなかなか時代を象徴していて興味深い。

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当時、上海では大卒の初任給が
RMB1,500ぐらいなのに対し彼女たちの
月収はRMB5,000~RMB10,000ぐらいあった。

そうした高収入もさることながら、
典型的な物語は水商売から客の愛人となり、
女性名義でマンションを購入するというものだ。

※もちろんすべての女性が
そうだったというわけではない。

当時は日本円で
400万円~500万円程度あれば、
100㎡程度の新築のマンションが買えた。

一部上場企業の部長クラスが
現地法人の社長として赴任すれば
海外手当も含めて手取りで
1,000~1,500万円ぐらいの
年収を取るのは普通なので、

この程度であれば少し頑張って
臨時の愛の巣として購入することもできる。

※もちろんこれは一例である。
ほとんどの日本人駐在員は真面目に任期を務めている。
愛人を作る男は香港・台湾人、外国人、
現地の中国人等々どこにでも一定数いる、
ということで捉えていただきたい。

そして1~3年程度の
愛人関係が続いたあと
そのマンションは彼女たちのものになる。

前のパトロンと切れたあと、
それを繰り返し、3戸、4戸と
部屋を手に入れる猛者もいる。

ホステスとして
一線で活躍できるのは
遅くても20代後半までなので、
そのあとは普通に会社に就職して働く。

日本人用のクラブで働いていれば、
そこでそこそこの日本語を覚えたりして、
日系企業などでの働き口には事欠かない。

手に入れたマンションは
人に貸して賃料収入を得る。

そしていつしか
外国人や中国人と普通に結婚する。

もちろんほとんど場合、
水商売をしていた過去は旦那には内緒だ。

そして今、
若いときに手に入れたマンションが
買値の10倍ぐらいに高騰している。

日本円で数千万円~数億円の
資産を築いてしまっているというわけだ。

もちろん夜の仕事をせずに
普通の会社で働いているOLもいた。

多くの場合、彼女たちは
水商売の女性たちを軽侮していた。

10数年が経ち、当時は若かった
OLたちも水商売の女性たちも傍目から見れば
同じような中年のおばさんになっている。

小学生の子供なんかいたりして。

ところが彼女たちが
保有している資産には
こうした大きな開きがある。

さて、
今の若くてきれいな女性が
水商売の世界に身を投じたとして、
当時の彼女たちと同じようなことができるか?

正直、難しいと思う。

今、上海の上海のマンションを買うと
4,000~5,000万円という物件が普通である。

もはや普通の会社員が
買い与えてやれるような代物ではない。

彼女たちの成功は中国経済の
成長過程にそれを実行したから可能であった。

当時のホステスたちは
その機会を的確に掴み
自分の若さと美貌を投資して
大きな財産を築いた。

「愛人」という立場は
それが他の人に知れれば
世間からある程度の誹りを
受けるのは世の常である。

だがそこを割り切ってしまえば、
非常に上手な生き方をしたといえなくもない。

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