中国の最低賃金と成長の鈍化 | 香港IFA玉利の海外投資夜話

中国の最低賃金と成長の鈍化

中国では省や自治区、市などの単位で
労働者の最低賃金というものを定めている。

2013年5月時点で、
労働者の最低賃金/月がもっとも高額なのは
上海の1,620元(約25,920円)

※RMB1 = JPY16換算

シンセンでは1,600元、広州では1,550元だ。

この最低賃金は
毎年のように上がってきている。

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2003年ごろ、
広州の最低賃金は500元程度だったので
この10年で3倍ほどに上がったことになる。

最低賃金を上げるのは
鈍化してるとはいえまだまだ経済成長の
続く中国における物価の上昇の中で
労働者が安心して生活してゆけるための
充分な賃金を保証するため、

というのが表向きの理由だ。

ところがこれだけ人件費が高騰すれば、
安い賃金を目当てにこの地に進出して来た
外国企業は目算が狂ってしまう。

今後の増産をあきらめ、
新たな生産地をもっと人件費の安い
アジア諸国などに求める傾向も顕著だ。

つまりは中国からの撤退、である。

一方、製造業の進出が盛んな
広東省では人材不足が深刻だという。

出稼ぎが多い広東省の工場では、
旧正月の度に帰省した労働者を戻って来ず、
生産計画に影響が出るほどだという。

理由は若者の工場労働忌避であったり、
出稼ぎ労働者を供給している地域に
新たな工場ができてそちらに吸収されていると
いうことが盛んに言われているが、

私はここに若干の違和感を覚える。

なぜそうした地域に出稼ぎ労働者が
多いのかというとそこがまずまず交通の便が
よい地域だからではないだろうか?

そしてなぜそうした地域に
新たな工場が建つのかというと
そこには広東省でトレーニングを受けた
質の良い労働者が多いからではないか?

逆に考えてみると、
13億人という巨大な人口を抱えている
中国にはまだまだ労働力の生産地として
手つかずの地域というのはあるのではないか?

内陸の貴州省などは一人あたりの
GDPが7,000元に満たないという。

そうした地域の人は最低賃金より
もっと安い賃金で働いてくれそうである。

しかしそうなると、
本来そこで働いていた人たちの
賃金に下降圧力がかかるので
そうした人たちからは反発があることだろう。

「貧しい地域の人たちも、
俺たちと同じ最低賃金で働けば良いじゃないか」

ということになる。

そうして中国の
低賃金ポテンシャルは潰され、
産業は流出してゆく。

中国の政府や労働者たちは
足下を守るあまりその地盤に大きな
地殻変動を防ぐことに気が回らない。

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