『FINE DAYS』  本多孝好 | ページをめくった先に広がる世界と解け合う心

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FINE DAYS (祥伝社文庫)/本多 孝好
¥630
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***この本は2010年2月に読了しました***

死の床にある父親から、僕は三十五年前に別れた元恋人を捜すように頼まれた。手がかりは若かりし頃の彼女の画。僕は大学に通う傍ら、彼らが一緒に住んでいたアパートへ向かった。だが、そこにいたのは画と同じ美しい彼女と、若き日の父だった…(「イエスタデイズ」より)。異例のロングセラーとなり、新世代の圧倒的共感を呼んだ著者初の恋愛小説、待望の文庫化。
(Bookデータベースより)


「僕は今の君が大好きだよ。たとえ、君自身が、やがて今の君を必要としなくなっても。忘れ去ってしまったとしても。僕は今の君が大好きだよ。」



裏表紙にも上記Bookデータベースと同じ紹介文句があり、それを読んでから手にとってみたんです。
「新世代の圧倒的共感を呼んだ著者初の恋愛小説」と。
まぁ前半部分は謳い文句にせよ、後半部分の、「恋愛小説」。これが曲者でした。
まず最初のFINE DAYSを読んで、あぁそういう感じなのね、と。
続く3編も真っ直ぐストレートな「恋愛小説」ではなく、どこかひねくれていて、一筋縄じゃいかない。
でも、これ嫌いじゃない、と思わせてくれる何かがありました。



自分ではどうやっても抗えない過去を持ち、そんな過去に現在も縛られている。
そんな登場人物達がメインで出てきます。
そして誰もが何かを喪失したことによる悲しみと憂いを持ち、だけれども、どこかにそれに対する優しさが感じられた。



どの編もすこし幻想的で、でも現実的で。そして、優しくてほんのり暖かく、だけど冷たく鋭く陰もある。
それぞれその対比する中間を、ノスタルジーとともにすごくゆったりと行き来しているような感覚にとらわれる。
4編の並び順もそれを後押ししてくれた。
心の底までドンと響くと言う感じではなかったが、じんわりと心に沁み、ゆっくりと広がっていくかのような読後感でよかった。
心の裏側にあるいつもは隠れた自分の内面を見つめ返すきっかけをくれる、そんな作品だったように思えます。



個人的には、3作目「眠りのための暖かな場所」4作目「シェード」が好み、次点で表題作かな。




「FINE DAYS」 「イエスタデイズ」 「眠りのための暖かな場所」 「シェード」
の4編を収録。



★★★★




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