『閉鎖病棟』  帚木蓮生 | ページをめくった先に広がる世界と解け合う心

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閉鎖病棟 (新潮文庫)/帚木 蓬生
¥580
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***この本は2006年6月頃読了しました***

とある精神科病棟。
重い過去を引きずり、家族や世間から疎まれ遠ざけられながらも、明るく生きようとする患者たち。
その日常を破ったのは、ある殺人事件だった…。
彼を犯行へと駆り立てたものは何か?その理由を知る者たちは―。
現役精神科医の作者が、病院の内部を患者の視点から描く。
淡々としつつ優しさに溢れる語り口、感涙を誘う結末が絶賛を浴びた。
山本周五郎賞受賞作。(Bookデータベースより)







物心ついた頃から高校時代まで、夏になるとよく行っていた祖父の家。
その近所に住んでいた、40歳代位の唖者の方を、ふと思い出した。


彼の純粋なまでの優しい笑顔と、身振り手振り一生懸命、言葉にできずとも話しかけてくる彼の姿。


彼を、変な人としてしか見なかった。
純粋だったのは、おれではなく彼の方だった。
今となっては彼のバックグラウンドを窺い知る事はできないけれど。


あの頃に戻り、彼ともう一度向かい合いたい。
そう、思った。




精神病患者の再生を描くだけでなく、患者同士の繋がりや対立、担当医師・看護士の仕事ぶり、退院するときの迎える側である家族の気持ち等がありありと描かれている。
ただ、内容がかなり重いのと、冒頭からのとっかかりが入りにくかったのには戸惑った。


精神病って、何なんだろう。正常な人間って?
誰だって、少なからず心の病はあると思う。
普段は自分でも気付かなくても、心の闇って深いところにある気がする。
闇にだっていろんな種類の闇があるだろうけど。



そんな闇によって、精神病として診られた人。
登場人物たちの起こした事件は決して許されるものじゃないけれど、一度精神病患者とて世間に見られた人達の社会復帰の難しさの現状を垣間見た気がする。



自分が精神病患者になったとしたら・・・、家族がなったとしたら・・・、色々と考えさせられる作品だ。



★★★



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