セイントメモリー引退式リポート | 中川明美の南関あらうんど

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8月2日に行われたセイントメモリーの引退式。




第9レース終了後、2013、2014年のサンタアニタトロフィーを連覇時の1枠帽をかぶった本橋孝太騎手を背に、サンタアニタトロフィー残り肩掛けを着けてデビューから7年間共にした小林大樹厩務員に引かれて馬場へと入場すると、内海正章オーナーと月岡健二調教師が待つ章典台前へ。
駆けつけたファンにあいさつをするかのようにゴール板前を周回しました。



  



 
セイントメモリーは大器晩成型。
6歳夏に京成盃グランドマイラーズで初めて重賞勝ちすると、サンタアニタトロフィー連覇のほかダートグレードJpnⅢオーバルスプリント、マイルグランプリと次々に制覇。
8歳になった昨年にもフジノウェーブ記念も制して重賞6勝。
2歳から9歳になる走り続けて49戦17勝。

NARグランプリ4歳以上最優秀牡馬や、TCK大賞第1回受賞馬という栄誉も手にしています。


「引退が決まったのは前走の京成盃グランドマイラーズ後。2歳から毎年勝ち続けて9歳になった今年勝てるかどうかとなった時に新たな道が用意されるならと、誘導馬に転向するのがオーナーの希望でもあった。おとなしい馬だから適性はあると思う」と月岡調教師。


自身の引退式だと知ってか知らずか、馬場に入るといつもと違ってテンション上がり気味だったセイントメモリー。
「なにかを察知したのかもしれませんね。一番最初にまたがったときの衝撃は忘れられません。背中の良さに驚いたことが懐かしいですね。馬体を見てもかっこいい馬ですから誘導馬としての見栄えもいいでしょうし、賢い馬だから覚えが早いのではないかと思います」と本橋騎手は歴戦の相棒をねぎらっていました。




引退式を終えて、新たな住処へと去っていくセイントメモリーの後ろ姿を見ながら、内海オーナーはこんな話を。
「感無量です。いろんな馬の生き様があるでしょうけど、こうして引退式をしてもらって誘導馬としてファンの前に出られるなんて本当に幸せなこと。なかなかこういう馬には巡り会えないですよね。自分の中では一年ほど前から引退を考えていました。これだけ頑張ったんだもの、もう十分だと。月岡先生や小林厩務員はまだやれると思っていたようですし、コンディション的にはきっとまだやれたでしょう。でもハートが燃え尽きていたかのようだった」。


前々走の川崎マイラーズでは5着に健闘したものの、前走の京成盃グランドマイラーズでは絶好ポジションにつけながら最後は下がってしまった。
あの瞬間に引退が決定されたのでした。


引退が決まってからも小林厩務員は運動を続け、7月14日にはすべての馬具をピカピカに新調して誘導馬の馬房へと送り出したといいます。


引退式が終わったとなれば、誘導馬デビューを目指して本格的な訓練が始まります。

「調馬索を使って3回ほどレッスンしましたが、思っていた以上に従順。ハイ止まって、ハイ常歩、速歩~と言うとその通りに動く。ただ、引退式では神経質な面を見せていましたので、馬場に入れての練習ができるのは様子を見ながら。次開催の後半もしくはその次からになるでしょうね」と大井競馬で誘導馬の訓練を担当している坂口昇さん。


競走馬時代の闘争心を封印しなければならない誘導馬としての新たな闘いが始まっています。
先輩誘導馬の帝王賞馬ボンネビルレコードと並んで馬場を闊歩する日はいつになるのでしょうか。
今から楽しみでなりません。