Presents
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角田 光代 松尾 たいこ 双葉社 2005-12 売り上げランキング : Amazonで詳しく見る by G-Tools |
「この本が、世界に存在することに」の一冊に出会って、角田光代さんに興味を持っていたので、素敵なカバーのこの本を見つけて思わず手に取ってしまいました。
Presentsというタイトルの通り、プレゼントをテーマにした12の短編集になっています。
この本を読んで、改めて自分自身が多くの人から多くのものをプレゼントされて生きていることを実感しました。中でも、一番心に残ったのは「名前」です。人が生まれてきて初めてプレゼントされるものは「名前」です。名前には両親の想いが詰まっていて、それだけで素敵なプレゼントだということを当たり前のようでいて普段は忘れていることだと感じました。
それぞれのストーリーがとてもシンプルで、シンプルだからこそ、とても素直に共感することのできる作品に仕上がっています。自分自身の経験と照らし合わせながら、プレゼントすること、されることの期待と不安、喜びと悲しみ、嬉しさなどなどの感情を呼び起こされます。
角田さんは本当に文章をキレイに書くのが上手だと思います。女性であることをしっかりと意識し、その繊細な感性を巧みに文章にしています。感性を武器として、尖った物にするのではなく、表現の方法を広げるためのツールとして使用している印象です。あくまで僕の印象ですが。そういうところが非常に好みです。
「ランドセル」から
失ってばかりのような気がするけれど、それでも、私の手にしているものはランドセルに詰めこめないくらいたくさんなのだ。
人生ってそうだよなーって思わせれた箇所です。
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