チョコレート工場の秘密 | Book Review’S ~本は成長の糧~

チョコレート工場の秘密

4566014118 チョコレート工場の秘密 ロアルド・ダールコレクション 2
ロアルド・ダール クェンティン・ブレイク 柳瀬 尚紀

評論社 2005-04-30
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おすすめ平均

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★★★★★★★★☆☆



この本は、映画化されたことで有名ですね。最近はDVDも発売されたとか。僕は映画を見ていないのですが、映画化がきっかけで知った人間の内の一人です。

この本では、多くの人が新訳と旧訳について感想や意見を書いていますので、その点についてはあまり触れないように感想を書きたいと思います。一番大きな理由は、旧訳を読む時間がないだけなんですが・・・。

個人的には、新訳での試みは好きです。たとえば登場人物の名前を日本人にわかりやすい名前に変えてしまったり、途中で出てくる小人たちが歌う歌詞をアレンジして韻を踏むようにしたり、といった部分です。原書を読むことの出来ない人にとっては、翻訳された作品だけからしかその作品を知ることができないので、出来る限り原作に近いようにするということは、良いことだと思います。

対象はもちろん子供なのですが、大人の絵本と言われている星の王子さまと同じく大人が読んでも楽しめる一冊だと思います。特に、子供がいる親にとっては勉強になるのではないでしょうか。

作品に出てくる子供たちは主人公のチャーリーを除いて、目も当てられないようなひどい子供たちばかりです。教育での問題点が浮き彫りにされています。甘やかされた子供、しつけのなっていない子供たちは、欲しい物をすぐにねだり、食べたいものを食べ、テレビやゲームをし続け、創造力に欠けた、思いやりのない子供たちになってしまいます。

逆にチャーリーは本当に「できた子」だったために、ハッピーエンド?を迎えられるわけですが、チャーリーと他の子供たちの間で一番大きく違ったことは「我慢すること」ができるか、できないかであると思います。我慢するという言葉を少し言い換えるなら、「一度踏みとどまって、考えてみる」ことになります。

考えることは、どのようにすればいいのか計画を立てることであったり、自分の取る行動の先にどのような結果が起こるのか想像することであったり、それ以外の選択肢はないのか模索することなどです。最近の子供たちはこういった訓練をする機会があまりにも減っているのではないかと思います。

作中にテレビを見ることを馬鹿にし、本を読むことを薦める部分があるんですが、僕は賛成です。活字を読むことのメリットももちろんありますが、多くの子供たちが現在テレビやゲームに時間を費やす中で、本当に情報を自分で判断したり、想像をめぐらすといった能力が欠如していくと危惧するからです。

あえて?今回は本の内容から大きく外れて書いてみました。自分自身、本を読んでいてもどうしても受動的に読むことが多いので、自分なりの考えを述べる訓練をしたいと思います。

最後になりましたが、子供向けの作品としては少しブラックユーモアが多いですがなかなかオススメできる一冊だと思います。

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