カシコギ | Book Review’S ~本は成長の糧~

カシコギ

カシコギ
趙 昌仁 金 淳鎬

サンマーク出版 2002-03
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おすすめ平均

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★★★★★★★★★★

この本のことを知り、読もうと思ったのはジョナサンさん の紹介がきっかけでした。しかし、それともう一つ読もうと思った理由があります。それはvodafoneのステーションというサービスで配信されている携帯小説です。その小説でこの本から心に突き刺さる言葉が引用されていました。

「あなたが虚しく過ごしたきょうという日は
きのう死んでいったものが
あれほど生きたいと願ったあした」


とても有名な言葉になっているみたいですね。そして、僕と同じようにこの言葉に影響を受けた人が数多くいるのを知りました。とにかく今!読まないと!という気持ちが沸き起こってどんな内容かも確認しないまま購入しました。実は読むまでは、啓発書だと思っていました・・・(^-^;

◆ありきたり?でも泣いてしまう1冊◆

8歳にして白血病に発病し、苦しい闘病生活を送るタウムと愛する息子の姿に苦しみ悩む父親チョン。次々と起こる絶望的な出来事、追い込まれるチョン、そして最後の哀しすぎる決断・・・。読んでいる途中はいくらなんでも、こんな展開はありえないだろうと思ってしまうこともありましたが、やはり最後は泣いてしまいました。

そして、その涙は今まで経験したことのない種類の涙でした。単純な悲しみではない、本当にいたたまれない気持ちと哀しさと辛さと何だかわけのわからない感情が入り混じった涙でした。

最後のチョンの選択、行動には不満も残りました。もっと死を目の前にして、エゴを出して欲しかった。それが本来の人間の姿だから。不器用にしか生きることのできなかったチョン。だけど心優しくて献身的な姿はとても心打たれました。

いつも通り本の詳しい内容はあまり書きたくないので、うまく説明できているのか不安ですが、こんなに読み終えるまで集中して読んだ本は久しぶりでした。

◆父性や母性ではなく親としての愛◆

この本の評価をアマゾンやブログで読んだところ、数人(多分女性)が反発していました。確かに、この本の父親チョンとその妻の描かれ方は極端すぎて、妻の全く「母性愛」を感じさせない振る舞いに反感を覚えるかもしれません。僕は男のせいか、わりとすんなり受け入れていましたが・・・。

だけど、この本は「父性愛を強調して父親の復権を」なんてのが本当の目的ではないと思うんです。

どんなに愛しても、いとおしく思っても、子供の苦痛を取り除くことが出来ない、代わりになることもできない親の苦しさ、辛さ。自分よりも大切だと思える、命をささげることも厭わないかけがえのない存在。今の社会にぽっかりと抜けとられた感覚、落としていく家族が増えている状況に対してこの本は「フッ」と投げかけたのではないでしょうか・・・。

女性ということでは、妻よりもジンヒにとても引きつけられました。ジンヒの生き方が、とても人間らしく僕の価値観にはまっていたからかもしれません。

◆関連情報◆

タイトルのカシコギは魚の名前でした(はじめは木の名前だと勘違いしていました)。本の中の説明をそのまま引用すると、

カシコギという魚のオスは、メスが産み捨てた稚魚を必死に育て、子が成長すると自らは死んでいくという

まさにこの本のチョンとタウムですね。

韓国では160万部を突破しているそうで、ドラマにもなっています。

韓国ドラマ「カシコギ」

あんまり大した情報ではなかったですね(苦笑)

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