読書日記PNU屋 -2ページ目

籠三蔵「現代雨月物語 身固異談」

 他の実話怪談では稀なテーマ、あやかし本であった前作に驚嘆していたら、新作は神仏特集。読んでいて背筋が伸びる一冊である。

 さらに、「八朔日の花嫁」は静かな感動と、ミステリーの如き伏線回収のカタルシスがあり、著者の超自然に対する真摯な姿勢に、居住まいを正さずにはいられなかった。

 印象的な話を下記に。

身固〜まえがきにかえて/人怖というのか、理解不能な人との不協和音が、不安渦巻く導入として怪奇で素敵だ。

霧の中より/ええ話や…これから時と共に、戦争怪談は語り手が失われてゆく運命ゆえ、貴重な一編であろう。

封印法/ええ話や…。この話に限らず、Tさんシリーズは他の怪談本にはあまり見かけない稀少なタイプのネタが多く、非常に興味深い。大変だろうけれど、この世ならぬ世界を一度チラ見してみたいと思ってしまう。

ゲドウ/当事者にはそれどころではないだろうが、民俗学好きにはたまらない逸話!!

道祖神祭(前)(後)/大作。前編が本の前半、後編が後半に掲載されているので、どうなっちゃうのッ?!というときめきを感じた。

神沼三平太「実話怪談 凄惨蒐」



 実に不気味な表紙だが、中身もカバーに勝るとも劣らず悍ましい怪異に溢れているのは、著者のファンならば自明なことだろう。

 これまでの怪談本には掲載を見送られてきた、いわくつきの長編怪談がまとめられている本書。読み心地はなんともダークである。

 私的お気に入りを下記に。

虫の知らせ/この話でさらりと触れられただけの、死ぬ●だけでも1話になると思う。語った人の心持ちが後をひいて、なんとも物悲しい。

化け婆の家/婆の精神の強さに心打たれる。

大工の家/家モノには、代々続く重みある恐怖があるものだが、この話のそれは意思があるだけに、ただシステマティックだけの呪いよりも恐ろしい。

チーズナン/直球のグロテスクが、読者の胃の腑を打つ!!

2021年12月の読書まとめ




 なんと、3か月近く放置してしまっていたブログを再び更新。仕事が予想を超えて忙しく、加齢で体力もなくなり、更新する気力がなかったんだなー。


 またもや、14連勤後の久々の休日だったりする。


クリスマスツリー活字本


 年間173冊、当月7冊と過去最低冊数を更新。小説全然読めていないなあ。


怪談奇聞 憑キ纏イ

怪談最恐戦 2021

恐怖箱 亡霊交差点

黒木魔奇録 魔女島

瞬殺怪談 死地

千葉怪談

勿忘怪談 野辺おくり


トナカイマンガ

 

 年間737冊、当月53冊。

 電子書籍も入っているので、こちらはまあまあのペース。感想が全く書けていないのが心残りだ。


青肌巨乳とクソボッチ 1

アカゴヒガン 4

悪女は砂時計をひっくり返す 1

悪役令嬢は隣国の王太子に溺愛される 9

犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい 7

イビルヒーローズ 2

インスタントライフ 3

羽人 2

海喰い 3

おじさまと猫 8

オットマン -OTTOMAN- 1

怪異と乙女と神隠し 4

怪獣8号 5

稼いだら幸せになれると思ってた

寄生列島 5

クールドジ男子 4

ゲイ風俗のもちぎさん セクシュアリティは人生だ。

怪物事変 6-12

このゲイとは付き合いたくない!! 1

最期の火を灯す者

サトリのサトル 2

ジゴサタ 3

実録 保育士でこ先生 4

屍役所〜公務員を襲う怪異〜

十二大戦 2-4

人生が一度めちゃめちゃになったアルコール依存症OLの話

新本格魔法少女りすか 2

STRANGE MOON 2

SPY&FAMILY 8

セキララ!ドン引きクリニック 上

続・つかれたときに読む海外旅日記

ダーウィン事変 3

大蛇に嫁いだ娘 1

黄昏ヘンテコ奇譚

ダンダダン 3

朝食会 3

終の対魔師 2

TSUYOSHI 誰も勝てない、アイツには 12

とんでもないオヤジ

にょろにょ〜ろ

ネオ・キャット

フォビア 1

不浄を拭うひと 3

私が見た未来 完全版

内藤駆「夜行怪談」

 近年、竹書房怪談文庫が月に5冊出るようになり、うれしい悲鳴をあげている。うれしいのだが社会人となり仕事が佳境に入っているため、なかなか読む時間がとれないのである。

 本書は積読してしまっていた一冊で、読めばしみじみとした怖さが輝きを放っていた。
 個人的に印象的だったお話を下記に。

公衆電話 異形のビジュアルが不気味。霊なのか、それとも何かの妖怪なのだろうか…?

エメラルド地蔵 こういう怪異なら見てみたいかも。

今の嫁です 全編、異様な雰囲気に包まれた怪作!

ユリとエリ ええ話…なの?!人の心はミステリー。

庭の男 ほのぼのだったのに…ラスト衝撃!

伊計翼「怪談社 THE BEST 邪の章」

 怪談社ベスト版、第二弾である。
 通常、傑作選といえば書き下ろし3話程度のところ、本書は、なんと怒涛の書き下ろし27話!もうそれだけで1冊新刊出るんちゃう?という勢いなのだ。

 私的お気に入りを下記に。

 恐怖の軸が滑らされていき、面白くも恐ろしい「廊下で知らせ」、見えない者には知り得ない恐怖「ご注意を」、謎めいた復讐「応報」、畏れ多い「夜火」、体験者主人公で一冊ラノベになりそうな「リッチ伝説」、発表時から凄まじいインパクトだった「悪魔の面影」など、傑作目白押し。
 うん、頭からシッポまで面白かった!