渋川紀秀「恐怖実話 狂忌」 | 読書日記PNU屋

渋川紀秀「恐怖実話 狂忌」

恐怖実話 狂忌 (竹書房文庫)恐怖実話 狂忌 (竹書房文庫)
渋川 紀秀

竹書房 2016-06-29

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「恐怖実話 狂霊」(☆) の著者の、新作である。

 

 あっ、「怨呪」の感想は書いていたのに、「狂霊」の感想は書いていなかった…。

 前作と同様、心霊譚とサイコ譚を交えながら、日常の隠れた狂気を追求していくスタイルにブレはない。

 

 ただ、ニュースで報道されない狂気事件簿より、今回新たに加わった霊能者・岸本氏シリーズや、上田住職の連作は、体験者の人となりに好感が持てて楽しかった。この形式を突き詰めていくと、ノンフィクションルポ形式で怪談から人生を掘り起こす、久田樹生に近づいていくのかもしれない…なんてことを、思った。

 

 上記2シリーズ以外で印象に残ったのは、何もかも謎で真相が気になり、心霊とサイコのあわいを味わえる「奇妙な通報」、伝染する狂気かそれとも、「同居」、新味こそないが、現代に生きている怪異が興味深い「狸祓い婆」。

 

 

(☆)