中田永一「くちびるに歌を」 | 読書日記PNU屋

中田永一「くちびるに歌を」

くちびるに歌をくちびるに歌を
中田 永一

小学館 2011-11-24


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 合唱部の顧問が産休をとり、代理の先生は東京から来た超美人。中学生たちは色めき立ち、今まで女子のみだった合唱部ににわかに男子が入部しまくりでさあ大変、な青春小説。

 女の子のパートと男の子のパートが交互に展開するんだけど、男の子パートの方がちょっと都合よくて、引っ込み思案な僕は成り行き任せにしてるうちにいつの間にかリア充になっちゃったんだぜ、みたいな…違う?

 これまでの中田永一作品は、ほんのり甘い中にも苦みあるスパイシーな部分がきちんとあってそこが好きだったんだけど、本作はなんだか盛り上がらないまま終わってしまったような…。とくに、代理のセンセはちょっといただけないキャラでしたわ。15年後の自分への手紙もさほど感動できず。

 重要人物の一人であるはずの男性(語り手であるヒロインの思い人)の恋の結果はどうなったんだい???な読後感だったなあ、残念。

p.s.主人公と兄との関係は、こちらの方がグッときたのよね個人的に。