坂木司「和菓子のアン」 | 読書日記PNU屋

坂木司「和菓子のアン」

和菓子のアン和菓子のアン

光文社 2010-04-20


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 進学も就職もピンとこないまま、求人の貼り紙を見た杏子は、デパ地下の和菓子屋さんに勤めることになる…ほのぼの和菓子ミステリー。

 私は小豆が苦手で、ゆえに和菓子は全然食べないのだけれど、そんな私ですら、美味しいと思ってしまうほど、和菓子の描写が素敵だった。

 出だしでヒロインが体形についてぐじぐじと嘆くシーンがややストレスフルだが(だいたいそのスペックでLサイズなら、たいしてデブじゃないだろー!リアルでサイズ肥肥で、地母神像に似ているのが悩みの私が怒るぞっ)、そこさえクリアすれば、乙女心あふれる先輩とのやりとりや、菓子のうんちくなど楽しめた。

 和菓子のミステリーは既にかなりできのいいやつがあったような気がするんだが、最近脳の具合が悪くてタイトルも作者も思い出せないから、帰宅したら自分のブログの過去ログを調べてみるわ。
 ははっ、記憶力がないからブログの過去ログが外部メモリか。サーバがトンだら記憶喪失だな。

p.s.本書は装丁が素敵で、表紙はヒロインを思わせる大福がしきつめられているし、見返しは玉しきという和風の特殊紙を使っているし、遊び紙印刷はキュートなピンクに白と茶のインクで大福を表現してて、すごく中身と合っている。いつも本は文庫派の人も、ぜひ一度本書のハードカバーを手にとって、装丁の妙を味わっていただきたい。

p.s.その2.和菓子ミステリーなんだったかわかんないな。近藤史恵の洋菓子パティシェ・ミステリーの一角に和菓子職人の話が出てきたのだったか。トリックもストーリーも忘れ去り、出てきた菓子がきれいで美味そうだったことしか覚えていない。