レイモンド・チャンドラー&ビリー・ワイルダー 他◇深夜の告白◇ | 星よりも大きく、星よりも多くの本を収納する本棚

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9年間の海外古典ミステリ読破に終止符を打ちました。

これからは国内外の多々ジャンルに飛び込みます。




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惚れた女と共謀して夫殺しを図った。計画は上手くいくはずだったのにーーー

 
 
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◇深夜の告白◇ -Double Indemnity-
レイモンド・チャンドラー&ビリー・ワイルダー 他 森田義信 訳
 
 
階段を降りる女の足音にきゅっと巻きついた金の装身具。「フィリス」という文字を刻んで煌めくアンクレットは、保険会社のトップ・セールスマンを暗く灰色の迷宮へと誘い込む─。ジェイムズ・M・ケインの衝撃作『殺人保険』をシナリオ化。チャンドラーのハリウッド時代の始まりを告げる記念碑的名作。
 
 
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1.深夜の告白
  (Double Indemnity)
  ……保険会社のセールスマン、ネフは告白する。人を殺したこと、殺した男ーーー顧客の妻フィリスと惹かれ合ったこと、彼女が夫殺しを仄めかし、ネフが計画を練ったことーーー
 
 
2.マーロウと過ごしたLAの一日
  (With Marlowe in L.A by William F.Nolan)
  ……ハメットとチャンドラー研究者の第一人者であるノーラン、マーロウにロサンゼルスを案内してもらうことに!
 
 
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「深夜の告白」です(・∀・)
 
 
チャンドラーの手による映画脚本です。
「深夜の告白」はあらすじでもあるようにケインの「殺人保険」の映画化です。チャンドラーは新鋭のビリー・ワイルダーと共作することになったのですが(最近、共作ものばっかり読んでいる気がする←)ワイルダーと性格も書き方もあわない、映画には元々関心はない、そもそもケインが嫌いなタイプの作家だった、でなかなか多難だったようです。それでも2人の汗と喧嘩の脚本はその年のアカデミー賞にノミネートされました。パチパチ。
 
 
「殺人保険」、改名「深夜の告白」は倒叙ものによく見られる女と犯罪によって身を滅ぼす男の姿が描かれています。話の筋はよくあるものなので映像を実際に見た方がこの映画の良さが分かると思います。残念。しかし死の間近にディクタフォンに告白して、そこに至るまでの過去をたどる手法は上手いと思います。ちなみにわたしは最後は処刑シーンじゃなくて良かったと思います。あと最後の同僚キーズとの会話するシーンはいいシーンだと思います。
 
 
2は全くの別物で裏話、楽屋ネタなお話。チャンドラーは実在の場所を名前を変えて作品に登場させるいう手法が好きでした。マーロウものはそれの宝庫で、その舞台ロサンゼルスでマーロウとチャンドラーにゆかりのある場所をマーロウが案内します。はい、マーロウが。ファンなら美味しい設定ですね〜
既に読んだ作品で登場した場所が出てくると嬉しくなります。スターンウッド将軍の家とか、マロイが彷徨った如何わしい繁華街とか、水上タクシーや桟橋とかヴィクトリア様式の邸宅とか。時の流れで無くなってしまった場所もありますが、この本を片手にロサンゼルス観光も悪くない!?
 
 
「深夜の告白」でした(・∀・)/
次のクロフツは久しぶりの倒叙ものです(*^o^*)/~