奥田英朗「ララピポ」
先日ご紹介した 乱歩賞受賞作品「天使のナイフ」 に感銘を受けた私。
そこで文学賞受賞作家の作品などをご紹介してみようと思っています。
※本当は今読んでいる本がちょっと長めでまだ読み終わらない関係もありますが(笑)
2004年に直木賞を受賞した「空中ブランコ」。
その著者奥田英朗氏の最新作をご紹介いたします。
ララピポ | |
奥田 英朗 おすすめ平均 胸詰まる思い、おどろおどろしさ 面白い! 帯がなければ星5つなのに・・・ 視界に銀粉が舞っている。 少し誤解を生む部分あるが、深い考察と構成の有る秀作 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
この本、前評判では「お下劣」とか「爆笑小説」なんて言われていました。
実際「帯」にもそんな文言があるんですよね。
で、中を見てみると...。
登場するのは、対人恐怖症のフリーライター、AV・風俗スカウトマン、
一応AV女優(半ば素人)の専業主婦、NO!と言えないカラオケBOX店員、
文芸コンプレックスの官能小説家、テープリライターでデブ専裏DVD女優...。
誰もがちょっと病み気味で、世間的には「負け」組といわれる6人。
「性」「フェチズム」というテーマに紐付けながら、彼等6人の様を描いていきます。
でも実は、この6篇の短編は微妙に交差しつつ...というのはよくある技法ですが
交差のしどころがかなり笑えて面白い。
特に「ええ?そんなところでつながるの?」的な驚きはすくないのですが、
交差すればするほど6人が愛らしくなってくるから、不思議(笑)。
一般的なハッピーエンドではなく、ある意味散々な結末を迎える6人ですが
これもまた彼等にとっては「悪くない」状況なのかもしれません。
心に残る感銘、無し!
読み返したくなる心地よい余韻、無し!
でも、なんかキライになれない、「悪くない」お下劣小説です。
但し、「空中ブランコ」などの読了感をイメージして読むとえらいことになりますので
ご注意下さい。
奥田英朗の作品は、前述の直木賞を受賞した「空中ブランコ」の他にも
同じ伊良部医師が登場する「イン・ザ・プール」、
元過激派の父を持つ少年の話「サウス・バウンド」、
著者の処女作、「ウランバーナの森」などなど、数多くあります。
やっぱりオススメは「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」 かな。
ちなみに。
直木賞って本当は「直木三十五賞」って言うこと、ご存知でした?
各新聞 ・雑誌単行本として発表 された短編および長編 の大衆文芸作品中
最も優秀なるものに呈する賞だそうです。これは応募方式じゃないですね。へー。