アヒルと鴨のコインロッカー / 伊坂幸太郎 | 活字中毒

アヒルと鴨のコインロッカー / 伊坂幸太郎

アヒルと鴨は何が違うのか・・・。アヒルは鴨を改良したものなんですよね。しかも外国生まれ。だから2つは似ているけど異なる。 この本はそんな似ているけど異なる人間のお話。現在と2年前が交互に語られてストーリーが続いていきます。


【現在】

大学進学に伴い1人暮らしを始めた僕(椎名)は、引越しの当日に隣人・河崎に出会った。初対面にも関わらず「一緒に本屋を襲わないか」と河崎に誘われる。しかもたった1冊の広辞苑を奪うためだというのだ。何がなんだかわからないうちに襲撃の手伝いをすることになってしまったのだが・・・。


【2年前】

琴美はペットショップ勤務の女の子。ドルジというブータンから留学してきている男性と一緒に暮らしている。最近ちまたで動物を虐殺する事件が起きているが、偶然そのペット殺しの犯人たちの会話を聞いてしまい危ない目にあう。逃げる途中でパスケースを落としてしまったところから住所と名前を知られてしまい、危険なことに。昔の恋人である河崎も絡んできて、ペット殺しの事件は解決するのか・・・。


本の説明はとてもはしょってしまいましたが、この河崎という人物がどちらの時代にも登場していて重要なキーになっています。河崎さんね、変な人なんですよ。かなーり。例えば文中に出てくる変なやつ例としてはですね。


街を歩いていた椎名が河崎を見かけるんです。彼はなぜか歩道と車道にある自転車置き場からはみ出している自転車を片っ端から蹴飛ばしながら歩いているんです。それだけでも「え!?」って驚いちゃうんですけどね、よく見ると河崎の背後にサングラスをして白い杖をついた男性が歩いているんです。おそらく目が見えない方なんでしょうね。点字タイルの上にはみ出している自転車を蹴飛ばして歩いていたってことが発覚したのはいいんですけど、別に蹴飛ばすことないじゃないですか。手でどけてあげればいい話で。でも、河崎はあくまでも蹴飛ばして歩いているだけで助けてあげている雰囲気ではないわけです。こういう人間ってどっかにいたなぁと思ったんですけど、チルドレン の陣内に近いタイプだなぁと。違いますかねぇ。どうも私には河崎という人間が陣内と同じような系統の人に思えました。ね、そういう意味ではやっぱり変なやつなのです。


ちなみに、タイトルのアヒルと鴨の話は本の半ばまでには登場するのでなんとなくわかるのですが、コインロッカーがなぜ関わってくるのかさっぱりわからないまま最後を迎えました。最後になってようやくコインロッカーの意味がわかるんです。ネタバレになってしまうのであまり詳しくかけませんが、おそらくあちこちに伏線が張られていたのでしょう。でも、私はちっとも気がつかずに最後まで読み終えてしまいました。最後までいって、ようやくすべての伏線がどーっとつながって気持ちが良いくらい。あぁ、あれにはこんなつながりがあったのかぁと感動してしまいました。相変わらず伊坂さんの伏線張りはすばらしいです!あまりにおもしろくて一気読みの本でした。


タイトル:アヒルと鴨のコインロッカー
著者:伊坂 幸太郎
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