震える岩-霊験お初捕物控 / 宮部みゆき | 活字中毒

震える岩-霊験お初捕物控 / 宮部みゆき

宮部さんが書く「時代物」です。私は宮部さんの書く時代物が大好きなんですけど、このお初はシリーズになっているらしくて、先が楽しみな1冊になりました。ちなみに、震える岩はお初シリーズの第1作目にあたります。


主人公はお初という10代の女の子。彼女は普通の人間には見えないものが見えてしまうという不思議な力を持っているんです。 その力を生かして、岡っ引きの兄である六蔵のために事件解決の手伝いをしたりすることがあるくらい。今回は南町奉行の根岸肥前守に頼まれて、町で噂になっている死人憑きの事件について調べていくのですが・・・。調べていくうちに100年も昔の話である「赤穂浪士の討ち入り」事件が絡んできたりと事件が大きくなっていきます。


このお初と一緒に事件を解決に導いていくのが、御前に紹介されて一緒に探索することになった優男・古沢右京之介という男。この右京之介がなんとも頼りない風貌なんです。色白の肌、ひよわな体つき、肩が細くてなで肩、メガネをかけている。こんな頼りない人が与力見習いだなんて・・・とお初も思うんです。与力といえば、今の警察みたいな存在ですよね。これで大丈夫か?と思わせる雰囲気の右京之介なのですが、実は頭はとても冴えているんです。


本来は見えないものが見えるお初と、ひ弱な右京之介の組み合わせがなかなかおかしくて、ついつい一気に読んでしまいました。時代物と入っても知識がなくとも読める作品なので「歴史が苦手」という人でも普通に作品として楽しめますよ。赤穂浪士の討ち入りについて、私が今まで知っていた知識とは違う面から見ることもできてとてもおもしろい作品でした。


タイトル:震える岩―霊験お初捕物控
著者:宮部 みゆき
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