いくつもの週末 / 江國香織 | 活字中毒

いくつもの週末 / 江國香織

サラリーマンと結婚した江國さんが結婚2~3年目になる頃のことについて書いたエッセイ集です。1997年に書いたものなので少し古いですが、とてもリアルに結婚生活が書かれていています。時折、私と同じことを思ったりする江國さんの言葉にウフフと笑ってしまいます。どうも彼女の結婚生活は私のそれとはかけ離れているみたいなんですけどね。心の中というか、そういう部分では共感できるものがいっぱい詰まっていました。


「よその女」では江國さんがリビングで寝てしまったダンナさんを「ベットで寝たら」と起こしてうるさがられるシーンがあるんですけどね。このシーンがね、好きなんです。

江國さんがもしダンナさんにとってよその女だったとしたら・・・うたた寝している彼に毛布をかけてあげれば感謝されるだろう。でも実際は違う。よその女ではない彼女がもしも起こさなかったとしたら、翌朝に必ず「なぜ起こしてくれなかったんだ」と文句を言われるだろうというのです。それはよその女ではないから。


この江國さんの発想ってとてもよくわかるんです。私も同じだから。仕事から帰ってきたダンナがテレビを見ながらうたた寝している時、そのまましばらく寝かせておいても起きない場合はやっぱり江國さん同様「うるさがられながら」も起こしてあげるのです。理由は簡単。起こさなければ、結局文句を言われるから。こんなとき、もしも私がよその女だったらうるさがられることも、文句を言われることもないのにね。


こういう些細な日常が描かれている江國さんの結婚生活は、なかなかおもしろいです。彼女のエッセイの行間に流れる幸せな結婚生活の雰囲気が、ほのぼのとした気持ちにさせてくれますよ。

タイトル:いくつもの週末
著者:江國 香織

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