西の魔女が死んだ / 梨木香歩 | 活字中毒

西の魔女が死んだ / 梨木香歩

少女まいが西の魔女と1ヶ月ほど過ごした日々を綴っています。ゆったりと時間が流れている2人の暮らしぶりはうらやましくなるほどです。梨木さんの描く生活というのは、なぜどの本でも時間がゆったり流れているように感じるのでしょうか。とっても不思議です。


中学生になってから学校へ行きたくないと感じるようになった少女まい。母親のすすめで母方の祖母(2人はこの祖母を西の魔女と呼んでいる)の元で過ごすことになりました。まいは大好きなおばあちゃんから「魔女になるための手ほどき」を受けることになりました。修行の一番重要なポイントはなんでも自分で決めることなんです。 生活の様々なことはもちろんのこと、幸せも、喜びもです。まいは西の魔女との暮らしの中で、次第に元気になって生き生きとしていきます。


西の魔女との暮らしが本当に素敵なんです。庭のワイルドストロベリーをつんでジャムを作ったり、洗濯はタライの中で足ぶみして、ラベンダーの茂みに干しておくんです。現実に日々の生活としてやっていこうと思ったらもちろん大変なんでしょうけどね。とても憧れます。


作品の中でまいが「おばあちゃん、大好き」というたびに西の魔女が「アイ・ノウ」と答えるシーンがあります。私はこれがとても好きだと感じました。普通、人から大好きって言われたらなんて答えます?「ありがとう」とか「嬉しい」とかかなぁって思います。でも、西の魔女は違う。「アイ・ノウ」なんです。大好きだってことは前から知ってたわよってにっこり答えるのって、とても深い愛だなぁと私は思うのです。大好きって言った方は心から安心して、幸せな気持ちになれる気がしませんか?西の魔女は外国人なので答えが「アイ・ノウ」ですけど、私だったら「知ってるわよ♪」って感じになるのかな。息子に「ママ大好き♪」って言われたら、私も「知ってるよ♪」とにっこり笑って答えてあげたいと思いました。


児童文学者協会新人賞作品ということで中学生くらいが読者対象らしいのですが、私はぜひ大人にも読んでもらいたい作品だと思います。私は特別魔女になりたいとは思わないけれど、西の魔女が教えてくれたこと。心の中で大切にしておきたいなぁと感じました。読み終わると、とても暖かい気持ちになれます。


タイトル:西の魔女が死んだ
著者:梨木 香歩
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