まどろむ夜のUFO / 角田光代 | 活字中毒

まどろむ夜のUFO / 角田光代

角田光代さんって恥ずかしながら今まで知りませんでした。132回の直木賞 受賞者の方なんですね。偶然、図書館の「今月のお薦め」みたいなコーナーに置いてあって借りたのですが、この本も96年に野間文芸新人賞 を受賞しているそうです。このまどろむ夜のUFOは3作入っているのですが、どれも微妙にシュールな感じ。

主題の「まどろむ夜のUFO」は、私の知らない彼女とのデートのためにジャムやクッキーを作る弟、魂の前世を信じる弟の友達、必ず5日おきにデートする几帳面?なサダカ君の3人の不思議な男性たちに囲まれている私の話です。

どうもこの本に出てくる人たちは、みんなちょっとずれている気がするんですよ。普通ではない感じ。でも、普通の基準って難しいですよね。UFOを信じる人。人には見えないものが見える人(いや、見えていないのかもしれないけど、見えていると信じている人たち・・・かな)。そういう人たちを「普通ではない」と言ってしまってよいものなのか難しいところですよね。誰が普通って決めたのかというところが問題ですし。

まぁ、普通論はさておきとして。
この本には私としてはちょっとお近づきになるのは悩ましい感じの人たちばかり出てくるんです。でも、なぜかおもしろい。近づきたくない世界だけど、ちょっと覗いてみてしまいましたって感じなんですよ。

別に結論がでるわけでも、落ちがつくわけでもないんですけどね。微妙な感じで普通と普通でない境界線が描かれていると思います。おそらく言葉の選び方も上手なんでしょうね。なかなか読みやすかったと思います。

著者: 角田 光代
タイトル: まどろむ夜のUFO