昌国の道具 | 盆栽はじめの一歩

昌国の道具

昌国(まさくに)は,世界で初めて

盆栽用の手入れ道具を実用化・製造したメーカーです。


剪定鋏,芽摘み鋏,葉刈り鋏,又枝切,コブ切, 根切,幹割り,

ピンセット,針金切,ヤットコ,神作り,ジャッキ,テコなど,

現在世にある盆栽用の手入れ道具のほぼ全てが,

九霞園初代園主・村田久造と昌国初代・川澄七之助氏の

共同開発から生まれました。


これらの道具は盆栽作りの現場の要求から

生まれた物であり,特許を取得,

または意匠登録してある物も少なくありません。


盆栽業者との密接な関わりから生まれた昌国の道具は,

現場の要求をダイレクトに反映しています。


中でも,木の幹に傷を付けることなく針金を切り外せる

特殊な形状の刃先をした針金切と,幹曲げ用のジャッキ,テコは

九霞園初代園主・村田久造が考案し特許を取得した製品で,

それぞれ九霞式針金切,九霞式ジャッキ,九霞式テコの名で世に出ました。


九霞式針金切の刃先。「九霞式」の刻印が見えます。

盆栽はじめの一歩


昭和10年代初頭の,昌国の雑誌広告。

盆栽はじめの一歩

実際に使った人の意見が販売元である九霞園に寄せられ,

それが昌国へとフィードバックされ,更なる開発の基になりました。


「歴史」「伝統」といった言葉の本当の意味が,

今から70年以上前のこの1枚の広告に集約されています。


この後,又枝切,九霞式針金切,

九霞式ジャッキ,九霞式テコの発明を経て

盆栽手入れ道具の基本形が完成します。


そういった歴史的経緯があるため,

NHK教育テレビ『美の壺』が「はさみ」を取り上げた際は,

九霞園が取材を受けました。

http://www.nhk.or.jp/tsubo/arc-20080801.html


こちらは昌国が世に送り出した盆栽手入れ道具の一部。

盆栽はじめの一歩

盆栽専用に考案されたこれらの道具の意匠を,

同業他社がこぞって模倣しました。




昌国は,医療機器製造の認可を受けています。


人体を扱う医療機器は,盆栽用の道具とは

比べ物にならない高度な品質が要求されるため,

製造を行うには都道府県知事レベルの認可が必要になります。


昌国は医療用の刃物は勿論,

電子顕微鏡用試料をカットするための鋼鉄製カッターなど,

他社が製造を断った業務用の特殊な刃物も手がけています。




昌国の刃物は,一部の特殊な物を除き自社工場製です。


現在流通している盆栽の手入れ道具は

OEM メーカーの製品に流通業者が刻印を打って

自社ブランドとして販売しているケースが少なくありません。


盆栽手入れ道具の創始者である昌国は,

その製品の多くを医療機器製造の認可を受けた

自社工場で生産を行っています。




昌国の製品は,永く使う事が前提です。


昌国の道具は,使い方が適切であれば30年,40年と使用できます。


新品の剪定鋏は合わせが少し渋く,

永く使うに従って軽い使い心地になります。


又枝切は,修理後に刃が短くなることを見越しているので

新品の時は刃先が少し長くなっています。


研いで刃が少し短くなった頃に本当に使いやすくなります。

こちらは使用開始から30年ほど経過した昌国の道具です。
盆栽はじめの一歩

左から,C型剪定鋏,先細又枝切,又枝切(小)。

実用性,品質,デザインの美しさ,全てを兼ね備えた道具たちです。


いずれも,前のユーザーから次のユーザーへと

2代にわたって受け継がれ,使われているものです。


いずれもしばらく放置してあったので一度修理に出しましたが,

その後は日常の手入れだけでこの状態を保っています。


「良い道具は一生モノ」といいますが,

昌国の道具は寿命は一生では終わりません。


高価な道具だから買った人は大事に使います。

それを引き継いだ人も,前の持ち主の思い出と共に大事に使います。

そして永く使い続けるための修理体制も整っています。

「ブランド」の意味がここにあります。


なお,盆栽用の刃物にカミソリのような鋭さは必要ないので,

高品質の道具を適切に使用し,きちんと手入れする限り,

それほど頻繁に研ぐ必要はありません。




昌国は,安易に新素材を採用しません。


昌国は「錆びない」というだけの理由で,

ステンレスを採用することはありません。


現在,昌国がカタログに掲載している

ステンレス製の盆栽道具は,剪定鋏,芽摘み鋏,

一部の針金切のみです。


これ以外の道具をステンレス素材で

昌国の品質基準に合わせて作ると高コストになり,

市場性がなくなります。


ステンレス製の又枝切やコブ切については,

コストパフォーマンスと昌国の品質基準を

両立させる製造技術を現在開発中です。




昌国は安易に「手作り」「手打ち」という言葉を使いません。


昌国は,機械で作っても手で作っても結果が同じ場合,

販売価格を下げるために作業工程を

積極的に自動化しています。


また,作業工程によっては機械処理のほうが

手作りより品質が安定する場合もあります。


なお,21世紀の世の中に高品質の盆栽鋏を

型に頼らず手作りすると,販売価格は一本あたり

4万円を超えてしまうのが現実です。


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参考:東京都伝統工芸士 ・国治(くにはる)作の盆栽鋏

国治作 盆栽鋏(ぼんさいばさみ)5寸5分
¥47,250
楽天

※モバイル非対応

国治作 盆栽鋏(ぼんさいばさみ) 桐箱入り

¥47,250
楽天

※モバイル非対応

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なお,実用性を超えた美しさ,気品を求める方のため,

昌国は手仕上げの特製・別製・別誂といったラインナップも

ご用意しています。(4万2000円~,2010年2月現在)