交直流近郊形電車415系の鋼製車では比較的新しいグループだった500番台。当初からロングシート仕様で、国鉄末期には5編成が常磐線から九州地区に移り、関門トンネルを抜けて山陽本線まで直通運転していました。

 

 

小郡駅に乗り入れた415系500番台(B514編成)。当時は「タウンシャトル」のヘッドマーク付きでした=1988年

 

 

 

415系500番台は1982年から4両編成24本、計96両製造されました。全車が勝田電車区に配置され、常磐線などで活躍しました。

 

FRP製の箱型通風器が並び塗り屋根だった外観や、座席に袖仕切りが付いた暖色系の内装は、当時通勤形の最新形式だった201系を踏襲していました。

 

九州には86年3月11日付で当時のK513、K514編成が、同19日付でK515〜K517編成の計5本20両が移りました。転属当初は常磐色(クリーム10号に青20号の帯)のままだったようですが、同年10月ごろから順次九州色(クリーム10号に青23号の帯2本)に変更されたようです。

 

 

山陽本線を走る415系500番台(FM515編成)。南福岡電車区には5編成が転入し、屋根上の通風器は96〜98年に撤去されました=新下関ー幡生、2000年

 

 

 

九州では長年、南福岡電車区に配置され、415系他番台や423系とともに活躍しました。山陽本線には小郡(現新山口)まで乗り入れたほか、宇部線への直通運用もありました。

 

山陽本線には当時から、今も主力の2扉転換クロスシートで快適な115系3000番台が走っていました。九州から乗り入れてくる車両の中では、415系500番台や1500番台はロングシートだったため、一般的には好まれなかったかもしれません。

 

山陽本線新山口駅までの乗り入れは2005年に終了。500番台は最終的には鹿児島地区に活躍の場を移しました。

 

 

下関駅で発車を待つ晩年の415系500番台(Fo520編成)=2022年

 

 

 

常磐線に残った415系500番台は2006年から2008年にかけて廃車されましたが、そのうち2編成はJR九州に移籍。507、520の編成は「元JR東日本車」として人気を集めました。

 

2022年9月23日のダイヤ改正で九州の415系鋼製車が運用離脱して2年。500番台は生まれながらのロングシート車として注目されました。201系譲りの内装は80年代前半の雰囲気にあふれ、九州生え抜きの415系とは違った魅力にあふれていました。

 

国鉄末期に広域転配された近郊形電車として、115系300番台などとともに記憶しておきたい形式です。

 

 

 

※小郡(新山口)から九州に直通運転していた415系などは、以下でも取り上げています

 

 

 

 

※姉妹ブログ「歴鉄2番線」では九州のヘッドマーク付き近郊形電車についてまとめています