ども、こんばんはー。
今月に入ってからどうも体調が優れなかったのですが、それでも仕事は休めないので頑張ってたら熱が出てしまい、何日間かはPCはちょこっと触るだけ、そして夜の9時前には布団INするくらい悪化しちゃってました。
こんな時間から寝るなんて、今時の子供でもしないってのに・・・。
そんなわけで更新がまた出来ずにいたのですが、話を1つもUPしないまま1月が終わるのは寂しすぎるので、体調がおかしな時に聞いてたボカロ曲で浮かんだモノを急遽書き上げUPしてみました。
記事のタイトル通り熱で頭が沸いてた時の妄想なので設定が微妙(聞いてたのが吉原の遊女を歌ったもののため)ですが、よろしければどうぞ。
ちなみに話のタイトルは思い付かなかったのでありません。
夜の帳が下りた頃。
賑わいだした吉原のとある店の一室では、まだ少女といっても過言ではない遊女が男に酌をしていた。
笑みを浮かべた男とは真逆の、眉根を寄せた表情で苦言を呈しながら。
「蓮様、どうか戯れはおやめくださいませ。」
「戯れとは何のことかな。お前の身請け?それとも・・・後々妻にしようとしてること?」
「・・・その両方です。」
「これはまた異なことを言うね。普通は喜ぶものだろうに・・・ようやく籠の外に出られると。」
そう、それが然るべき反応である。
ボロボロになるまで働かされ朽ちていくのが宿命づけられた遊女、その身に1回あるかないかの幸運が降りかからんとしてるのだから。
それも憎からず思ってる相手からならば、尚更だろう。
けれども少女は頑なに首を振るばかりだった。
「・・・ただ妾にと望まれてのことならば、そう出来たかもしれません。
けれど貴方様は私を妻にするつもりだと仰られる・・・己の身の丈に合わない話をされてる以上、本気にとらないのは当たり前ではございませんか。
老舗の大問屋である敦賀屋のご子息が吉原上がりの女を、これまで幾人もと夜を共にしてきたような穢れた遊女を娶るなど、許されるわけありませんもの。」
誰しもが知ってる公然の事実。
言えば自身にも深く刺さるそれを彼女は敢えて口にし諌めようとしたが、どうやら言葉選びを間違えたらしい。
「・・・・・・やれやれ、キョーコは本当に俺を煽るのが得意だよね。
他の男のこととか持ち出して、そんなに俺を嫉妬させたいのかな?」
「は?いえ、私はただ事実を述べただけ・・・。」
突如ガラリと雰囲気の変わった男から若干逃げ腰になりつつ、それでも律儀に言葉を返した少女。
しかし全てを言い終わる前に布団に押し倒され、目を見開いたまま固まってしまう。
その様をまばたきもせず見つめていた男はやがて、昏い笑みを浮かべた顔を吐息がかかる距離まで近づけ告げる。
「正直に言おうか、キョーコ。先程お前が口にしたことはね、考えるだけで頭がおかしくなりそうなくらい腹立たしいよ。
そうだな・・・触れた人間全てこの世から消し去って、いや、魂も消滅してやりたいほどだと言えば分かるかい?
それくらい俺はお前に・・・キョーコに惚れてるんだ。
だからたとえ誰が反対しようとも・・・お前が泣いて嫌がっても逃がす気はないから諦めて・・・。」
宣言というよりはむしろ、懇願に近い言葉の直後。
性急に唇を塞がれた少女は困惑顔の中どこかホッとしたような安堵を滲ませ、ゆっくりと瞼を閉じたのだった。
吉原の夜はまだ始まったばかり・・・。
おわり