本日の更新は、我ながら何じゃこりゃって話だったりします。
タイトルからして妙なものですからね。
おまけにこの話の蓮様はある意味犯罪者一歩手前っぽいし・・・。
そんな代物ですので、どんなものでもOKという方のみお読みくださいませ。



野生の勘を侮るなかれ



そろそろ寒さも緩和されてきた今日この頃。
皆さん、どうお過ごしでしょうか。
私こと未だラブミー部員である最上キョーコはどうしてるかと言いますと・・・何故か冷や汗を流すような状況に陥ってたりします・・・。

「・・・こんな時に考え事とは、随分余裕があるんだね。」

突き刺さるような神々しい笑顔でそんなことを仰るのは、尊敬する先輩俳優の敦賀さん。
芸能界一いい男と名高いお方で、内緒だけど私の想い人だったりします。
そのような人が私如きに言い寄ってくるだなんて、現実であるわけないからこれはきっと夢・・・。

「放っておくと曲解しそうだから先に断っとくけど、俺はからかったり冗談を言ってるわけじゃないよ。
もちろんこれは夢の中の出来事とかでもないから。
俺は本気で君に・・・最上さんに告白してるんだ。」

言葉にしたわけでもないのに、よくお分かりになりましたね私の心情。
けれどそう釘を刺されても、冗談にしか思えませんって。
だって無理もないでしょう?
業界のほぼ頂点に君臨してる貴方に対して、私は底辺もいいとこなんですもの。
こんな釣り合わない組み合わせ、本気と思えるわけないじゃないですか。

「ここまで言っても、まだ信じようとはしてくれないみたいだね。
じゃあ、こういうのはどうかな・・・俺に任せてくれるなら、しっかりとこれが嘘偽りない現実だと実感させてあげるよ。」

はい?実感って、何をどうする気なんですか?
目が全く笑ってない笑顔で言われても、怖くてお任せする気にはなれないんですけど?!

「怖いだなんて心外だな。俺は君に信じてもらおうと必死なだけなのに・・・。」

本当に、どうしてこう思ったことが伝わってしまうのかしら・・・って、そんなことよりも。
ここでそのいかにも悲しげな、私が弱い捨て犬みたいな雰囲気を醸し出したりするのは卑怯ですって。
あううぅ・・・分かりました、貴方のお気持ちは信じますから、ですからどうかその顔はやめて~。

「分かってくれた?じゃあ改めて、好きだよ最上さん。
君が俺のことを少しでも好きだと思ってくれてるのなら、細かいことは考えずこの手を取ってくれないか?」

先程とは表情をガラリと変え、今度はこの上なく優しげな笑みで差し出された大きな手。
これほどまで言ってくださるのだから信じてとりたいのは山々なのに、どうしてか私の勘がやめろと訴えてくるのでそう出来ずにいます。
そのため身動き出来ず固まっていると、そんな私に焦れたのか近寄り自ら手を掴んできた敦賀さんは、

「まったく、こういった時だけ鋭いよな君は・・・大丈夫だよ、そう怯えなくても。
これは誰しも遅かれ早かれ、一度は経験することなんだからね。
散々我慢してきたからちょっと手加減出来ないかもしれないけど、努力はするから心配しないで。」

と言い放ち、意味が分からずハテナマークを浮かべる私を連れ去ったのでした。

こうしてこの日様々な手段で嫌になるほど気持ちを伝えられた私は、第六感というか野生の勘を侮ってはならないと身を以って思い知りはしたものの・・・でも、従わなかったおかげで唯一無二の恋人を得られたのだから、これはこれで結果オーライだったのかもしれません。



おわり



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