前々から口にしていたもう1つの方が、やっとこさ仕上がったのでUPしました。
やりました~、どうにか期間内に間に合いましたよ。
とはいっても、とんでもなくおバカな話になってますけど・・・。
まあおバカ話要員?の私ですから仕方ないですよね。
そういうわけですので、ツッコミなしの温い目で読んでいただけたら嬉しいです。




直らないクセの矯正法 【メロキュンプレゼンツ!!《ハッピー♡プレゼント!!》】



キョーコと蓮が恋人同士になって早半年。
最初の内は想いが実ったことで幸せを噛みしめていた両者だったが、ここ最近では一方がとあることで頭を悩ませるようになっていた。
もっともそれは事情を知る第三者にとってはバカらしいことではあるのだが・・・。
何故かというとその人物・キョーコが真剣に思い悩んでいるのは、恋人による贈り物攻撃をどう躱そうかということなのだから。

一般の常識で考えてみて、彼氏からの贈り物を喜ばない人なんてまずいないだろう。
それはもちろん、キョーコとて例外ではない。
だが当然ながら何事にも限度というものが存在しており、とんでもなく高価な物を度々贈られていては困り果ててしまうのも仕方がないことである。
特にキョーコのような庶民思考が強い者なら尚更だ。
しかも恋人になり始めは月1回だったものが徐々に増えていき、現在では3~4回が普通になっているのだから貰う側の精神的苦痛はいかほどのものか計り知れない。
かといってやんわりと断っても聞いてもらえないし、じゃあせめてもっと安価な物にしてくれと頼んでも背景に捨て犬軍団を背負った悲しげな顔を見ては根負けするといった始末で、進退窮まっている彼女は思わず深いため息をついてしまうのだった。

だがそんなお手上げ状態にも関わらず、キョーコの不屈の根性は健在のようで。
諦める気が一切ないらしい彼女は、本日も自室で電話越しに恋人に訴えかける。
まさかこの通話が両者にとって、真逆だが覿面の効果をもたらすことなど知りもせずに・・・。

「・・・折角の電話で、またその話かい?
いくら愛しい君の言う事でも、こればかりは改められないな・・・だって恋人にプレゼントを贈るのは男の務めであり甲斐性でもあるのだからね。」

「ですから私としても、貴方にプレゼントを頂くのは嬉しいんですよ?
ただ今のように月に何度もでは頻度が高すぎますから、記念日とか特別な日だけにしていただきたいんです・・・その方が気兼ねしなくていいですし、こちらからもお返しが出来ますので。」

「俺が贈りたくてやってるんだから、別に気兼ねなんてしなくていいのに・・・。
それにしても記念日かもしくは特別な日にだけって・・・俺にとっての特別な日は、恋人に会える時全てなんだけどね。
でもだからって会う度じゃ困らせると思ったからこそ、気持ちを抑えてここまで回数を減らしてるんだよ。
ね、俺だって今でも十分妥協してるだろう?
だからここは君も、何も気にせず今まで通り受け取ってくれるのが筋というものじゃないかな。」

「なっ、何も気にせずって、そんなの無理だからこうしてお願いしてるんじゃないですかっ!!
なのにそちらがそんなことを仰るのであれば、私もオブラートに包んだような物言いはやめて本音を言わせていただきますから!
いいですか、こっちは貴方から贈られる分不相応すぎて使うことも出来ない高価な物のせいで、毎回置き場探しに苦労するし部屋も片付かないわで困りまくってるんですよ?!
しかも私の部屋は普通にしてても狭いから、溢れかえった品物で閉塞感も半端ないですし!
もうこれ以上の贈り物は嬉しいどころか迷惑になりますので、絶対にやめてくださいね?!」

いくらなんでも貰っている身だから穏便にやめさせようとしてたのに、屁理屈をこねられたことで頭に血が上ったキョーコは叫ぶようにそう口にしてしまう。
するとすぐさま言葉が返ってくる。

「ああ、別にそういうことなら俺の所に越して来ればいいだけの話じゃないか。
ウチなら荷物置き場になりそうな部屋くらいたくさんあるし、今まで贈った服は俺がコーディネートして君に着せてあげるから使えないという問題もほぼ解消出来るしね。
おまけに俺としても今まで通り贈ることも出来て、ほら、一石二鳥だ。」

述べたのは話しているうちに蓮が思い付いた、半分切れかけているキョーコを丸め込むための本人的には素晴らしい案。
だがそれがどうやら彼女の堪忍袋を完璧にブチ切れさせたと分かったのは、しばし押し黙った後聞こえてきた穏やかな口調で語られる内容を耳にしてだった。

「・・・ねえ、敦賀さん。
前々から気付いてはいましたが、どうやら私たちはとことん価値観が違いすぎるようですね。
そんなに物を贈るのがお好きなのでしたら、一々文句をつける私とは別れてちゃんと喜んでくれる人を探された方がいいんじゃないですか?」

これを耳にした途端顔色を変えた蓮は大慌てで弁明するものの、何を言っても最早後の祭りのようで聞いてもらえず。
彼がようやく許してもらえたのは散々謝罪と土下座を繰り返した末、今後はやたらと贈らないようにすると誓った3日後のことであった。

こうしてキョーコは恋人の困ったクセを矯正することには見事成功したのだが。
その反動からか1回の贈り物がさらに高額になってしまい、再び頭を抱えるはめになったらしい。
・・・クセを直すというのは本当に難儀なことである。



おわり



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