本日は以前ちらりと言っていた「じゃじゃ馬ならし」のおまけをUPしてみました。
といっても、終わってから結構経つので今更という感じですが・・・。
しかもおまけなのに長いし主役じゃなく友人たちの話だし・・・。
まあ暇つぶし程度で読んでいただけたらと思います。




じゃじゃ馬ならし ~友人たちの場合~



「琴南さんってなかなかの美人だと思わないか?」

ある日社が何の脈絡もなくそんなことをポツリと呟いたので、蓮は驚きで目を瞠り彼女のことを思い返しながら徐に口を開いた。

「・・・確かに整った顔立ちではあるんでしょうね・・・この学校内でも何人かが一目惚れして玉砕してるらしいですから。
ただ見た目はよくても性格がキツすぎると思うのですが・・・。」

「そりゃ今までお前に向かって怒鳴ったり、ましてや手を振り上げたりする女性がいなかったからそう思うだけだって。
しかも可愛くて仕方ない許婚のキョーコちゃんが事あるごとに親友自慢するもんだから面白くないっていう妬みもあるだろうしな。」

「・・・まあその辺は否定はしませんけど。
それにしても珍しいですね、社さんが女性のことをそんな風に言うなんて・・・もしかして彼女に惚れたんですか?」

「いや、別にそうじゃなくてだな・・・ちょっといいと思っただけというか・・・。」

「へぇ・・・そうなんですか。」

少し慌てたように言った社に蓮が笑顔でそう返したのを最後に、男性陣の会話は終了した。
その翌日女性陣はというと・・・。

「ねえモー子さん、蓮さんの友達の社さんって人のことをどう思う?」

当たり障りのない話をしてる途中でキョーコがいきなりそんなことを言い出したため、驚いたように目を見開いた奏江は思ったままを答える。

「どう思うって言われても・・・眼鏡をかけた知的な感じの人という印象しかないわよ。」

「それだけ?!あの人も蓮さん程じゃないけど整った顔立ちしてるのに?
しかも将来はお父様の跡を継いでお医者様になるらしいから安定した収入が望めるみたいなのに・・・。」

「アンタさり気なく旦那の自慢までして、一体何が言いたいのよ?
あの人の顔が整ってようが将来医者になろうが私には関係ないことでしょーが。」

「それが大アリなの!だって社さんてモー子さんのことが好きらしいから。」

「はぁっ?!」

「それで蓮さんに頼まれたのよ、モー子さんが嫌でなければ社さんと会ってくれるようお願いしてみてくれって。
・・・あのね、その人って私たちが喧嘩した時すごく親身になってくれたらしいから私としても出来ればそうしてあげてほしいんだけど・・・ダメかな?」

「・・・別に会って話をするくらいならいいわよ。」

以前会った時に言動の節々から社が友人思いであることを感じ好ましく思ってた彼女だが、それを親友に匂わすことなく努めて素っ気無い口調でそう了承するのだった。
そしていざ会って話してみてお互いのことがますます気に入った2人は、それからも度々落ち合うようになり月日は流れる・・・。

「ちょっと聞いて!あれからもう3年も経つっていうのに、倖人さんたらまだ何も言ってこないのよ!
いつも2人で会って茶を飲むだけって私はあの人の何なの?!茶飲み友達?!
じじばばじゃあるまいし、いい加減にしてほしいわっ!!」

2年前に結婚し現在は幸せいっぱいのキョーコに向かい奏江がそう不満を爆発させている頃、蓮の元ではそんな彼女とは対照的に社が照れたような笑顔を浮かべていた。

「いやあ、奏江さんに詰め寄られるまでもなくそろそろ結婚を申し込みたいとは思ってるんだよ?
でも彼女って怒ってる顔も凛としてて綺麗だからついそれに見惚れてね。
それで曖昧な言葉を返してたら、先日ももういいと言って肩を怒らせて帰っちゃってさ・・・次こそは彼女に見惚れないよう頑張るよ。」

そんな愚痴もしくは惚気をお互いの友人にしょっちゅう聞かされている夫妻は、本日もやれやれといったように深いため息をついてしまうのだった。
類は友を呼ぶという言葉通りというか何というか・・・どうやら友人たちの方の恋路も一筋縄ではいかないようである・・・。



おわり



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