やっと終わりを書き上げることが出来ました。
本当に・・・一時はどうなることかと思いましたが無事完結しましたよ~。
とは言ってもラストはグダグダになってしまってますけど・・・。
罠主の魔人様、こんな話ですがよろしければお納めくださいませ。



まやかしの恋 4



漂う沈黙を先に破ったのはキョーコだった。
じっと蓮を凝視しながら口を開く。

「・・・私が好きな人を忘れるために貴方と付き合ってる?
本気でそんなことを思ってるんですか?」

そう聞かれ蓮は顔を歪めたまま言う。

「あの話を聞いた限りそうとしか思えないじゃないか。
・・・それなら俺のあげたプレゼントを君が使わない理由も分かるし・・・。
どうせ君のことだから俺に対する罪悪感とかから使えないんだろう?」

まるでそれが真実であるかのように決め付けるように言われ、一旦は落ち着きかけた彼女の頭にまた血が昇る。
その感情のまま気付けば言う気がなかった自分の気持ちを口走っていた。

「はぁ?!罪悪感?!何でそんなもの感じないといけないんですか?!
私が好きなのは敦賀さんなのにっ!!」

「・・・えっ・・・・・・俺・・・?」

思いがけないことを聞いた彼は信じられないといったように目を瞠っている。
その姿に彼女は自分がいらぬことを言ってしまったと顔を顰めたが、自棄になったのかはたまた止まらなくなってしまったのかさらに続けた。

「大体、好きな人を忘れるために付き合ってたのは貴方の方でしょう?!
精神的に参ってる時に偶々私が傍にいたからって・・・。
それなのに責めるみたいにプレゼントのことを持ち出して・・・そんなに使ってない理由が知りたいなら教えましょうか?!
それは・・・貴方が本当に好きなのは私じゃないと知ってたからですよ!!
身代わりがあんな高価なモノを頂くワケにはいきませんからね!」

組み敷かれた状態のため溢れる涙を拭うことも出来ず睨んだままそう叫んだキョーコに、やっと正気に返った蓮は慌てたように言葉を口にする。

「ちょっ、ちょっと待ってくれ!
どうしてそんな誤解をしてるのか分からないんだが・・・。
確かにあの頃は精神的に参っていたけどそれは駆除しても次から次に君に群がる馬の骨のせいで・・・。
このままでは誰かに君を奪われるんじゃないか・・・そんな焦りからあの場で告白して付き合いに持ち込んだが、それは決して偶々とか身代わりにするためなんかじゃないよ。
君だから・・・キョーコが好きだからなんだ。
・・・この気持ちに嘘偽りなどないことを信じてほしい・・・。」

そんな風に言われ信じたい気持ちと信じられない気持ちが彼女の中で鬩ぎ合う。
揺れ動く瞳からそのことを読み取った蓮はさらに囁くように告げる。

「・・・本当に俺には君以外好きになった人はいないんだよ。
あの暑い夏に京都で出会ってからずっと・・・君だけが特別だった・・・。」

この言葉を皮切りに突如始まった彼の昔話によりようやく真相を知ったキョーコは盛大に怒り文句を並べ立てたのだが、その相手は彼女の気持ちが聞けたことで頭に花を咲かせている状態のため全く堪えていなかった。
それどころか今の体勢をいいことに妖艶な笑みで迫る始末で・・・。
2人はそれからちょっとした攻防戦を繰り広げた末に心を通わせてから初めてのキスをし、その後恋人になってから初めての甘い夜を共に過ごしたのだった・・・。

こうしてまやかしの関係が終わりやっと本当の意味で恋人となった2人は、今までの分を取り戻すかのように蜜月を楽しんでいるらしい。
周囲の人間・・・主に社に甚大な被害を被りながら・・・。
まあ何はともあれ幸せならそれに越したことはないから良しとしておこう。

ちなみに仕舞い込まれていたプレゼントは少しずつだが使われるようになり、それを喜んだ蓮によりまたさらにその量が増えてしまったのは言うまでもないことである・・・。



おわり



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