今回は光君が出てくるんですが、私の書く彼は関西弁ではなく標準語になってます。
それはどうしても関西弁を書けなかった為です。
本当に方言って難しいですね・・・。
まやかしの恋 2
ラブミー部の部屋で椅子に座り携帯を操作していたキョーコは、その画面を凝視したまま独り言を呟いていた。
「・・・これで恋人として敦賀さんのマンションに行くのは最後になるのね・・・。」
そんな彼女が見ているのは先程届いた彼の返信だ。
“今日は20時に仕事が終わるので急いで帰るから中で待ってて”という文章を何度も読み返して少し微笑む。
時間が経って自分の決意が鈍る前に話せることの安堵感と、これからの蓮の幸せを祈る気持ちや切ない想いなどがごちゃ混ぜになった複雑そうな笑顔で。
しばらくの間そのまま座っていたキョーコは頭を左右に振って突然立ち上がり、気合を入れるかのように自分の両頬を少し強めに叩いて叫ぶ。
「さあ、これから次の仕事なんだから気持ちを切り替えなきゃっ!!
そうよ。私はもう二度と恋なんてせず仕事に生きるんだから!」
そう宣言し部屋を出て歩いているとブリッジロックの光と鉢合わせる。
「お疲れ様です。」
いつもするように笑顔で挨拶をしたのだが、彼は彼女をじっと見つめてから少し話をしたいと言って人気のない場所に移動していった。
「ねえ京子ちゃん、悩んでることがあるだろう?」
着いた途端光に心配そうな表情でこう切り出されキョーコは一瞬肩を震わせる。
だが平静を装い顔に笑顔を貼り付け口を開く。
「えっ、私に悩みですか?
心配してくださって嬉しいんですがそんなものはないですよ。」
そんな不自然さのない態度に彼は切なげに微笑む。
「・・・俺には相談出来ない?
俺は・・・京子ちゃん、君のことが好きでずっと見てきたからごまかされないよ。
君に好きな人がいることは知ってる・・・本当はその人のことで悩んでることも・・・。
自分1人で溜め込んでても苦しいばかりだろう・・・だから話してごらん?
人に言えば少しはラクになると思うよ。」
その言葉に彼女の演技は崩れ去ってしまった。
堰が切れたように涙を流しながらぽつりぽつりと話し出す。
「・・・最初は好きになるつもりなんてこれっぽっちもなかったんです・・・だってあの人には片想いの女性がいることを知ってたから・・・。
なのに想いを止めることが出来なくて・・・どうにか封じ込めようとしたけどダメでした・・・。
だったら考えないようにしようと思い忘れたフリをしてみても苦しさが付き纏ったままで辛くて・・・望みのない人をどうしてこんなにも好きになってしまったんでしょう・・・。
・・・自分の愚かさが腹立たしいです・・・。」
彼女の頭を撫でながら聞いていた光は頷くと囁くように呟いた。
「・・・そっか・・・ツライ恋をしてるんだね。
俺でよければいつでも聞いてあげるから遠慮せず言っていいよ。
何だったらそんなヤツ忘れるために俺と付き合ってみる?」
最後の方はおどけたような軽い口調で言われ、それに微笑むとキョーコは頭を下げる。
「聞いていただきありがとうございます。
おかげで少しスッキリしました。
それであの・・・光さんの気持ちはすごく嬉しいのですが応えることが出来ませんので・・・本当にすみません。」
「うん・・・京子ちゃんならそう言うだろうと思ってたから気にしないで。
・・・それより今日思わず告白してフラレたんだけどさ、変に意識したりせずこれからも今まで通り接してくれたら嬉しいな。」
その言葉に頷き光と別れた後。
顔を洗うため化粧室に向かう彼女は気付いていなかった。
このやりとりの一部始終を暗い目で見ていた男がいたということに・・・。
つづく
それはどうしても関西弁を書けなかった為です。
本当に方言って難しいですね・・・。
まやかしの恋 2
ラブミー部の部屋で椅子に座り携帯を操作していたキョーコは、その画面を凝視したまま独り言を呟いていた。
「・・・これで恋人として敦賀さんのマンションに行くのは最後になるのね・・・。」
そんな彼女が見ているのは先程届いた彼の返信だ。
“今日は20時に仕事が終わるので急いで帰るから中で待ってて”という文章を何度も読み返して少し微笑む。
時間が経って自分の決意が鈍る前に話せることの安堵感と、これからの蓮の幸せを祈る気持ちや切ない想いなどがごちゃ混ぜになった複雑そうな笑顔で。
しばらくの間そのまま座っていたキョーコは頭を左右に振って突然立ち上がり、気合を入れるかのように自分の両頬を少し強めに叩いて叫ぶ。
「さあ、これから次の仕事なんだから気持ちを切り替えなきゃっ!!
そうよ。私はもう二度と恋なんてせず仕事に生きるんだから!」
そう宣言し部屋を出て歩いているとブリッジロックの光と鉢合わせる。
「お疲れ様です。」
いつもするように笑顔で挨拶をしたのだが、彼は彼女をじっと見つめてから少し話をしたいと言って人気のない場所に移動していった。
「ねえ京子ちゃん、悩んでることがあるだろう?」
着いた途端光に心配そうな表情でこう切り出されキョーコは一瞬肩を震わせる。
だが平静を装い顔に笑顔を貼り付け口を開く。
「えっ、私に悩みですか?
心配してくださって嬉しいんですがそんなものはないですよ。」
そんな不自然さのない態度に彼は切なげに微笑む。
「・・・俺には相談出来ない?
俺は・・・京子ちゃん、君のことが好きでずっと見てきたからごまかされないよ。
君に好きな人がいることは知ってる・・・本当はその人のことで悩んでることも・・・。
自分1人で溜め込んでても苦しいばかりだろう・・・だから話してごらん?
人に言えば少しはラクになると思うよ。」
その言葉に彼女の演技は崩れ去ってしまった。
堰が切れたように涙を流しながらぽつりぽつりと話し出す。
「・・・最初は好きになるつもりなんてこれっぽっちもなかったんです・・・だってあの人には片想いの女性がいることを知ってたから・・・。
なのに想いを止めることが出来なくて・・・どうにか封じ込めようとしたけどダメでした・・・。
だったら考えないようにしようと思い忘れたフリをしてみても苦しさが付き纏ったままで辛くて・・・望みのない人をどうしてこんなにも好きになってしまったんでしょう・・・。
・・・自分の愚かさが腹立たしいです・・・。」
彼女の頭を撫でながら聞いていた光は頷くと囁くように呟いた。
「・・・そっか・・・ツライ恋をしてるんだね。
俺でよければいつでも聞いてあげるから遠慮せず言っていいよ。
何だったらそんなヤツ忘れるために俺と付き合ってみる?」
最後の方はおどけたような軽い口調で言われ、それに微笑むとキョーコは頭を下げる。
「聞いていただきありがとうございます。
おかげで少しスッキリしました。
それであの・・・光さんの気持ちはすごく嬉しいのですが応えることが出来ませんので・・・本当にすみません。」
「うん・・・京子ちゃんならそう言うだろうと思ってたから気にしないで。
・・・それより今日思わず告白してフラレたんだけどさ、変に意識したりせずこれからも今まで通り接してくれたら嬉しいな。」
その言葉に頷き光と別れた後。
顔を洗うため化粧室に向かう彼女は気付いていなかった。
このやりとりの一部始終を暗い目で見ていた男がいたということに・・・。
つづく