ここからが私が書いた話です。
とりあえず出来たのはここまでなのでUPしました。
・・・最初は蓮様視点とキョーコちゃん視点で書いていこうと思ったのですが上手くいかなかったので諦めてこんな書き方になってます。
そういうワケで形式が変わってますがそこは見逃してくださいね。



まやかしの恋 1



「なあ蓮・・・何かあったのか?」

社は周囲に誰もいないことを確認した後、隣を歩く担当俳優を仰ぎ見ながら訊ねた。
彼がそう聞くのも無理はない。
何故ならその表情は普段と変わらないものの、淀んだオーラは隠しきれていないのだから。
他の人はまず気付かないだろうが長年傍で見てきた彼にはバレバレだった。

「・・・やっぱり社さんには隠せませんでしたか・・・。」

蓮が困ったように笑いながらそう言うと、社はこれ見よがしにため息をついてみせる。

「当然だ。何年お前のサポートをしてきたと思ってるんだよ。
どうせお前がそんな風になるのはキョーコちゃん絡みなんだろ?」

その言葉に更に顔を歪ませるように苦笑いになるのを見て、彼は今度は本気で深いため息をついてしまう。
片想いの時もそうだったが付き合いだしてからも手間のかかるヤツだと思いながら。
そのまま無言で待つ社に蓮は口を開く。

「別に何かあったとかいうワケじゃないんですよ。
ただ・・・彼女が恋人として甘えてくれないのが寂しいだけで・・・。」

一体どんなことを言われるかと身構えていた彼は拍子抜けしたような顔になる。

「なんだ・・・どんな深刻な悩みかと思えばそんなことか。
・・・まあそれはしょうがないんじゃないか?
相手はあのキョーコちゃんだぞ?!
あの子は元々そう簡単に甘えることが出来る性格じゃないんだからな。
ましてやお前たちは付き合いだしてまだ半年だし・・・。」

「それはもちろん分かってますよ・・・彼女が天然記念物並みに純真なのも慎み深いのも。
だから焦らずゆっくりとあの子のペースで進めていこうとしてるんですから。
でも俺のプレゼントしたモノを1度も使ってくれないってのは凹んでも仕方ないでしょう・・・。」

「えっ、お前のプレゼントってあのバッグとか服とかだろっ?!
俺の記憶違いじゃなけりゃ結構頻繁に贈ってたと思うんだが、キョーコちゃん1つも使ってないのか?!」

叫ぶように言われ蓮は少し眉根を寄せ寂しげに微笑みながら頷いた。
今まで普通だった口調も僅かに沈んだものになってしまう。

「ええ・・・彼女好みの遠慮されないようにとそれほど値段の高くないモノを選んだつもりなんですけどね・・・。
見せたら元通りに包み直してましたよ。
もしかしたら俺が包装を解いてないものに至っては、そのまま開けることすらせず仕舞い込んでるかもしれません。
・・・社さん、これってどういうことだと思います?
俺にはキョーコがただ遠慮してるだけには思えないんですが・・・。」

「う~ん・・・キョーコちゃんなら受け取るまでは渋っても、貰ったかぎりは喜んで大切に使いそうなんだがなあ。
・・・ただあの子はいつも予想の斜め上をいくから、そんなに気にするほどのこともないんじゃないか?
多分今は気後れしてるだけで、もう少し時間が経てば使ってくれるようになるって。
ほら、次の現場はすぐそこだから気持ちを切り替えろ。」

少しわざとらしい感じではあったが社が明るくそう話を打ち切ると、彼は眉間の皺を失くし力なく笑った。
するとそのタイミングを見越したかのように蓮の携帯に1通のメールが届く。
見てみるとそれはキョーコからで今夜会いにいってもいいかという内容だったため・・・。
これまでの様子が嘘のように上機嫌で返信し始めた蓮に、社は呆れたような視線を投げかけたのだった。



つづく



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