短答の通知と、「論文総合得点の足切り」という概念の使い道 | 1回目で三回試験合格を目指す

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 短答の結果通知が来ました。
 自己採点より2点上がり、266点(787位)でした。



 さて、先日、私は「論文総合得点の足切り」という概念を提唱しました

 しかし、この概念の使い道を全く説明していなかったため、一見して、「短答の成績と論文の成績との相関関係が低い又は存在しない」というような無理筋の主張をしていると誤解されかねない内容になってしまっていました。

 私個人の見解としては、少なくとも、短答の成績と論文の成績には、やや強い相関関係があると思っています。少なくとも、低いとか存在しないとかは全く思っていませんし、先日のブログでもそういったことは書いてはいないはずです。


 では、どのような役割を念頭において、「論文総合得点の足切り」という概念を提唱したかというと、
 短答で足切りライン+1割程度の点数が取れるようになった時点における、その後の勉強指針を判断するための考慮事項
 として使うために、提唱しました。



 具体的事例を挙げて説明すると、次のとおりです。



 まず、司法試験受験生のAさんがいたとします。

 Aさんは司法試験4ヶ月前の段階で、その後全く勉強しなければ、論文で(仮に全員採点される世界としたとき)7000番程度、短答で7000番程度取りそうな成績だったとします。
 Aさんが、この時点でまず何をやるべきかといえば、短答を一回しすることだと思います。
 短答7000番であれば当然に足切りされますし、論文で7000番程度であれば、短答を一回しすることで基礎的理解ができ、論文の成績も向上すると考えられるからです。

 こうして、Aさんは短答を一回しし、残り3カ月前の段階で、論文6000番、短答5000番程度取りそうな成績になったとします。
 このAさんが次にやるべきことは、まぁ、色々あると思いますが、たとえば、論文と択一とで重複する分野の基礎力を向上させるための勉強をすることなんかが良いのではないでしょうか。具体的には、問題集を解いて解説から基本書や判例集にあたったり、百選のうち出題されそうな分野の判例を通読したり、など、択一の点数向上を意識した論文の勉強です。

 この時点まで、「論文総合得点の足切り」という概念は全く役に立ちません。


 で、Aさんの基礎力が向上し、残り1カ月の段階で、論文で3000番、短答で3000番になったとします。
 ここで初めて、その後の勉強指針を検討する上で、「論文総合得点の足切り」という概念が役に立つのではないかと思っています。

 この状況を整理すると、短答3000番については、予備校が推奨する短答8割の人の順位どころか、今年の司法試験では足切りライン+1割に届かない順位です。もっとも、足切り自体は突破しています。
 しかし、論文については、論文総合得点の足切りを越えていません。短答で満点取ろうが落ちます。

 この状況下で、Aさんは、
 少年法や免訴判決のパターンの暗記など、択一の成績のみを向上させる分野の勉強をするかしないか
 ②手形小切手や再審など、択一には出題されるものの、論文で出題される可能性が低い分野の勉強をするかしないか
 などの判断に迫られるかと思います。

 このとき、論文総合得点の足切りというのを意識していれば、「しない」という選択を取りやすいのではないか。
 少なくとも、論文総合得点の足切りを超えていないことを自覚していれば「しない」という選択をとる人がいるのではないか。
 このいった意味で、論文総合得点の足切りという概念は役立つのではないかと思います。

 もちろん、論文総合得点の足切りを突破していないということを自覚しても、短答の足切りを受ければ論文の採点すら受けられないわけですから、短答足切りリスクの回避のために、①と②について、「する」という選択を取ったとしてもそれは合理性ある判断と思います。
 しかし、意識していれば「しない」という判断をしたという人にとっては、その人にとっては試験1ヶ月前に択一プロパー分野に時間を使ったことが不合理な判断として後に後悔につながるかもしれません。


 最後のほうの文章はやや息切れしてしまい、論理構成が不明瞭な文章になってしまったかもしれませんが、とりえあず大体のニュアンスが伝わっていれば幸いです。

 もっとも、論文総合得点の足切りという概念は、短答に比して論文の配点比率がとても高い状況下であるからこそ大きな意味を有するものであるところ、来年の短答・論文の配点比率は現時点で(おそらく)不明です。

 よって、場合によってはあまり意味のない概念になるかもしれません。


【追記】
 なお、短答で足切りライン+1割程度の点数」する理由は、

 ①大体このくらいの点数をコンスタントに取れていれば、マークミスなければ短答の足切りは超えるだろうという点数が、足切り+1割くらいと個人的に思うこと
 ②+1割(今年でいう245点)ならば、択一と論文の共通項を勉強するだけで到達可能のように思えますが、+2割(280点)に持っていくには、ある程度、論文非出題部分や暗記しなくても六法見れば分かる部分も勉強せざるをえないと個人的に思うこと

 の2点です。
ただ、どちらの理由も客観的根拠のない上、個人差もかなりあると思うので、「1割」という数字自体の信用性は決して高くないです。でも、個人的経験や、周囲の意見等より、そんなに外れた見解でもないと思っています。