こんにちは。
スポーツトレーナー協会JARTA代表の中野崇です。
昨日今日と、あるJチームのトレーニング指導に来ています。
ちょっと写真は出せないのですが、夜は監督と打ち合わせしつつこんな食事。
郷土料理、かなり美味しかったです。
僕の仕事は監督の想いと戦略を実現するための手段を選手に提示する仕事であり、それを限られた時間の中で実現する手段を提示する仕事。
監督との打ち合わせの中ではそういう部分を会話の中からいかに読み取るかが重要になります。
さて今回はそんなトレーニングの中で改めて感じたことを。
僕は予てから、柔軟性やスピードやパワー、そしてバランスはそれらを同時に発揮できなければ試合にはなかなか繋がってこないという話をここで書いてきました。
いかに関節や筋肉に柔軟性があろうと、例えばバランスを発揮しながらその柔軟性を発揮できなければ、固い動きになってしまいます。
身体が柔らかい選手が全員しなやかな動きができるとは限らないってことです。
つまり柔軟性≠しなやかな動き。
僕はフィジカルトレーニングレベルから、この部分のギャップを埋める作業が必要だと考えます。
要するに、柔軟性そのものを向上させつつ、それをバランスと同時に発揮できるようにトレーニングを行うってこと。
(他の要素との組み合わせも同様の構図です)
JARTAではこれをアブレスト能力と呼んでトレーニングの重要対象としています。
例えば上半身を大きく使う動きを、片足立ちで行うとかですね。
そうすると何が起こるかというと、両足立ちでできていた動きの大きさや動きのスピードが、片足立ちになった途端、小さく遅くぎこちなくなったりしてしまいます。
こういう現象が起こるのは、柔軟性とバランスが同時発揮できていない状態。
両足立ちと片足立ちでの上半身の動きの違い、ぜひ試してみてください。
今回はこの点について興味深い現象をもう少し。
トップレベルの選手と、それより低いレベルでプレーしている選手との差についてです。
両者には非常にたくさんの差があり、表現しようと思えばいくらでもありますが、ここではバランスに対する反応について。
トップレベルの選手は、バランスを崩すことを恐れません。
例えば先述の片足立ちで上半身を大きく速く動かす課題だと、バランスを崩すことに躊躇せず、「思いっきり」バランスを崩します。
その代わり、上半身の動きは一切小さくなったり遅くなったりしません。
そしてバランスを崩さずにできるまでの期間も短い。
それより低いレベルでプレーしている選手は、逆の反応を起こします。
バランスを崩さないようにするため、上半身の動きの速さや大きさを小さくします。
その結果、片足立ちはなんとか保てているけれど、上半身はろくに動かせていない、という現象が起こります。
僕はこれを「置きにいく」と表現してそういう選手たちに認識してもらっています。
バランスの保持と上半身の動きの速さ・大きさ。
どちらを優先すべきかという話になりますが、僕は動きの方が優先すべきだと考えます。
経験上もそうですが、バランスを崩す、崩せることはスポーツにおいて非常に重要なファクターです。
(専門的には支持基底面から重心を外す、と表現します)
バランスを崩す、と書くと良くないことのように感じる方もいるかもしれませんが、これは動き出しの時に早く動くとか大きな力を出すために重心移動を利用するといった能力と非常に近いのです。
また、歩き出したばかりの赤ちゃんはバランスを崩すということを何度も経験しながらバランス機能を発達させていきます。
めちゃ簡単に書きましたが、これらのことから考えると、そして実際にパフォーマンスレベルが高い選手がそういう反応を起こしている事実から考えても、「置きにいく」作戦よりも、思いっきり崩れながら作戦の方が上達はかなり早いです。
実際、思いっきり崩れながらやろうとすると、意外に難しいもんです。
ぜひ試してみてください。
こーいうのやってみるとよくわかるかもしれません。
お読みいただき、ありがとうございました。
全てはパフォーマンスアップのために。
中野 崇
追伸
なんらかのスキルや身体操作を獲得する上で、繰り返すことは非常に重要ですし、避けて通れません。
ただし、その期間をいかに短くできるかを考えることは選手としても指導側としてもものすごく重要です。
時間感覚を大事にしていなければできないことですし、選手でいられる時間ってとても短いからです。
だから僕は、実際の競技の動きとフィジカルトレーニングは、どんな些細なことでも絶対に乖離させない。
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JARTAの各セミナーでこの能力について扱っています。
https://jarta.jp/j-seminar/course/apply/
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