広島 宮島と鹿
住民の生活環境や、観光客への被害があるとして、
2009年から、広島の廿日市市は宮島の鹿への餌やり禁止を含む「宮島の鹿対策」
の5年計画を立て、鹿を市街地から山へ返そうという取り組みをしています。
(実際の餌やり禁止は、この計画以前、2000年から行われていました。
鹿せんべい禁止は2007年から)
2005年の農業生産資源研究所の資料
によると、これまで鹿が食べなかった、反芻動物にとって有害な成分を含む植物を、鹿が食べはじめた、とあります。

2009年、朝のテレビ番組で、宮島の鹿の餌やりが 禁じられている中での、鹿の様子が報道され、お腹を空かせた鹿が、観光客の捨てたビニール袋を食べる様子や、死んだ鹿の胃袋の中に小砂利しか入っていなかった様子が報道されたそうです。
2010年の廿日市市の調査
では、 尾とその上部に角ばりが見える「やややせ」が約50%、肋骨がうっすらと見える 、脊椎骨の稜線が明瞭になる 「やせ」が約20%、「げきやせ」が数%、「良好」は約5%、となっています。
2011年、廿日市市が保護した、やせた鹿
2010年、廿日市市が、死んだ鹿4体の解剖を行ったところ、すべてで、胃に大量の異物が蓄積されており、うち2体では異物が3kgを超えていたそうです。
2000年の餌やり禁止から10年以上がたちます。
廿日市市では、シカの食べるシバを育てたり、モニタリング調査をされたりしていますが、シカはおなかが空いているのです。
戦後まもなく数十頭から100頭ほどだったものを、観光資源として奈良からつれてくるなどして増やし、餌付けしてきた鹿です。
広島大学大学院理学研究科
は、宮島の鹿の被害は、植物にとって多大であり再生不可能。将来森林植生が変わってしまうだろう、といっています。 また、宮島は鹿の食べられない松の木、毒のあるキョウチクトウやアセビなども多く見られます。
観光地化して、家が建ち、コンクリートで打ち固められた地面には、鹿の食べる草も少ないのではないでしょうか、そして廿日市市が育てているシバが、市街地周辺だけで400頭ほどいるといわれる鹿を養うことができるまで増えるのにどれくらい時間がかかるのか。
被害を防ぐために、餌をやらず、おなかをすかせた鹿が、3kgもの異物を食べる。それは人間と鹿との穏やかな共存とはいえないだろうと思います。
2012年5月、廿日市市役所
に問い合わせたところ、人為的な避妊は、鹿の生態系をくずす恐れがあるとして、行っていないということでした。また、衰弱した鹿を見かけたらどうしたらよいのか尋ねると、鹿の保護収容施設があるので連絡してください、とのことでした。
廿日市市役所 農林水産課 林業振興係 電話:0829-30-9148
鹿への餌やり、鹿が異物を食べぬようゴミ拾いを続けている宮島の鹿愛護会の活動報告
さんでは、宮島の鹿への餌やり禁止の撤回を求める署名をよびかけています。
(締め切り2012年8月末)。
http://miyajimanosika.blog111.fc2.com/blog-entry-79.html
また、宮島へ渡るフェリー代、鹿の餌代の支援も募っています。
http://miyajimanosika.blog111.fc2.com/blog-entry-84.html
行政への意見提出先
http://miyajimanosika.blog111.fc2.com/blog-entry-80.html
広島宮島鹿通信さんも、鹿への餌やり、鹿が異物を食べぬようゴミ拾いを続けていらっしゃる方です。
http://sikamama.blog9.fc2.com/
宮島が、鹿が野生として住むことができない環境なら、数が増えないように避妊し、これからも観光のシンボルとして、共存していける体制を整えていくことはできないのか。
餌をやらない、というような乱暴な選択以外はないのか。
以上ふみふみ隊長のblogより→広島 宮島と鹿