混迷する中東に打開策はあるか? | ヤモリのつぶやき

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日々のニュース解説等をつぶやきます......

 どうにも中東の混乱が止まらない。
 そこに住む人達は穏健な方々が多いわけで、いい加減何処かで矛を収めたほうがいいと思うのだが、家族を殺されたり生活が脅かされることがある場合、我々が平和な場所から止めろと言うのは空虚な言葉でしかない。
 先般も、アメリカがシリアの攻撃を防御する関係で集団的自衛権を発動し、問題になった。
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米主導の有志連合、シリア軍機を撃墜 北部ラッカで 2017年06月19日
http://www.bbc.com/japanese/40323217
過激派組織のいわゆる「イスラム国」(IS)の掃討を目指す米国主導の有志連合は18日、シリア北部のラッカで政府軍機1機を撃墜した。
シリア国営テレビによると、シリア軍は、軍機がIS攻撃のため出撃していたと説明。撃墜されたことでテロとの戦いに「危険な影響」が及ぶと非難した。
米軍は発表文で、米国が支援する戦闘員たちがいた場所の近くをシリア軍機が爆撃したことから、自衛のために撃墜したと説明した。
発表文は「交戦規定に従い、また有志連合と連携勢力の集団自衛に基づき、ただちに撃墜した」と述べた。
撃墜された軍機は、クルド系とアラブ系の連合勢力「シリア民主軍」(SDF)がラッカ付近で支配下に置く町、ジャディンの上空を飛んでいた。
SDFは有志連合による空爆の支援を受けつつ、ISの要衝となっているラッカを包囲している。
米国によると、撃墜2時間前にシリアのバシャール・アサド大統領に忠誠を誓う勢力がSDFに攻撃を仕掛けてきたという。「大勢が負傷」し、SDFはジャディンから退却した。
米国はためらわず反撃したと述べる一方で、シリア政府との戦闘は望んでいないとした。
米軍は、「正当な対ISIS(ISの別称)作戦を実施する有志連合と連携勢力に対して示された、親シリア政府勢力による敵対的な意図と行為は容認できない」と述べた。
親シリア政府勢力はラッカでの戦闘に参加していないが、ラッカから南西の周辺地域でISと戦い進攻を続けている。
米軍は先月、シリアとイラクの国境にあるタンフ通行所近くで、親シリア政府勢力のドローン(無人機)から攻撃を受け、ドローンを撃墜している。
一方、イランの革命防衛隊は18日、シリア東部でIS戦闘員たちを標的にミサイル数発を撃ち込んだと発表した。
イランの首都テヘランで今月7日に国会議事堂などが攻撃を受け10数人が死亡した事件で、ISは犯行声明を出している。

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 これに対し、露の反発は小さくない。
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ロシア、有志連合の飛行体は「標的」 シリアめぐり米軍を牽制 2017.6.19
http://www.sankei.com/world/news/170619/wor1706190069-n1.html
 【モスクワ=黒川信雄】ロシア国防省は19日、シリアで米軍機がアサド政権軍機を撃墜したことに関連して、シリア上空でロシア軍が軍事作戦を展開する空域の「あらゆる飛行体」が今後、ロシア軍の対空兵器により「標的」として監視されると発表した。イタル・タス通信が伝えた。露国防省は、「飛行体」には米軍主導の有志連合が使用する「飛行機、無人機」を含むと強調し、米側を強く牽制(けんせい)した。
 対象となる空域は、ユーフラテス川より西側の地域の上空だとしている。
 アサド政権軍を支援するロシアは、今回の撃墜をめぐり米側への態度を硬化させている。露国防省はまた、米側と交わしたシリア上空での偶発的衝突を避けるための覚書の履行を19日から「停止する」とも発表した。

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 今後、問題はさらに激化しそうで警鐘が鳴らされる。
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焦点:IS打倒に傾注する米国、戦略なきシリア攻撃の落とし穴 2017年 06月 20日
http://jp.reuters.com/article/mideast-crisis-usa-idJPKBN19B0E9?sp=true
[ワシントン 19日 ロイター] - トランプ大統領は、過激派組織「イスラム国(IS)」に対する軍事行動の強化を指示し、米軍司令官により多くの権限を委譲した。だが、包括的なシリア戦略なしには、大統領のアプローチはシリアやイラン、さらにはロシアとの対立激化を招く恐れがあると、複数の米政府高官や専門家は指摘する。
米軍機による18日のアサド政権軍機の撃墜は、現代の戦闘としては極めて珍しく、こうした戦闘機の撃墜は18年ぶりとなる。だがこれは、単発的な出来事ではなかった。
米国はこの3カ月、シリア政権軍と、イランを含むその支援勢力に対して、主に自衛の手段としての攻撃を実行する意思があることを行動で示してきた。
トランプ大統領は4月、化学兵器攻撃の拠点に使われたとして、シリアの空軍基地への巡航ミサイル攻撃を命じた。それ以降、米軍は、イランの支援を受けた武装勢力をたびたび攻撃しており、先週には米国が率いる有志連合軍を脅かしていた無人機(ドローン)を撃墜した。
しかし、こうした出来事はすべて戦術的なもので、米国のシリア戦略の一端をなすものではないと、アナリストは指摘する。
トランプ氏とオバマ前大統領の両政権は、IS打倒にのみ集中してきた。だが、ISが一方的に宣告した「カリフ」と呼ばれる正教一致体制の支配地域が縮小する中、米国の支援を受けた勢力と、アサド政権側の勢力は、勢力範囲の拡大競争をしているように見える。
「全体を包括する米国の戦略というものはない」と、中東研究所のチャールズ・リスター氏は指摘。「シリア戦況の一局面しか見ていない地上の司令官が、戦術的な決断をした結果に過ぎない。自分の配下の軍備を守ろうとしている。こうした純粋に戦術的な一連の決定が、重大な戦略的結果を生んでいる」
ロシアとイランの両国は、シリアのアサド大統領を支援している。
政府高官と専門家は、トランプ大統領と彼の国家安全保障チームが、シリアの将来についての長期的な政治戦略を立案していないことが、より大きな問題だと指摘する。
オバマ氏と同様に、トランプ大統領はIS対策に集中し、アサド政権の今後や、地域の壊れた同盟関係の問題は後回しにしている。
「われわれには、首尾一貫したシリア戦略というものが一切なかった」と米政府高官は語る。「われわれはアサド政権に反対しているが、主な敵はISだ。ISもまた、アサドに対抗している。われわれの最も有力な同盟相手は(クルド人部隊)ペシュメルガだが、北大西洋条約機構(NATO)同盟国であり、一連の軍事行動の拠点となっている空軍基地があるトルコは、クルド人を敵視している」
ワシントンのシンクタンク戦争研究所のジェニファー・カファレラ氏は、米軍の攻撃によりアサド政権とその支援者が抑止される可能性は低いと見る。
「米国が文民主導のシリア戦略を欠いていることや、米軍がISに傾注していることで、親アサド派が拡大し、勢力を増す余地が大きくなっている」と、カファレラ氏は指摘する。
ホワイトハウスの報道官は、メールや電話を通じたコメントの要請に応じなかった。ホワイトハウス高官は、「シリアでの戦略としては、まずなんといってもISを打倒し、紛争の沈静化に向けて成果を上げることだ。まだその状態には近くないが、それが戦略だ」と話した。

<対イランで割れるトランプ氏側近>
ロシアは、今回の米軍によるアサド政権軍機の撃墜に強く反発している。米軍は、アサド軍機が、米国が支援するクルド人とアラブ系の混成勢力であるシリア民主軍(SDF)の近くに爆弾を投下していたと説明した。
ロシア政府は、ユーフラテス川以西の空域を飛行する米国主導の有志連合機は潜在的な標的とみなし、ミサイルシステムや軍事機で追跡すると表明した。撃墜する、とまでは言及しなかった。
ホワイトハウスは19日、シリアでISと戦う有志連合には自衛権があるとした上で、ロシア側との連絡手段は維持すると表明した。
イランが18日、シリア東部のISの標的に弾道ミサイル攻撃を実行したことにより事態はさらに複雑化した。イランがこうした攻撃に踏み切るのは初めてのことだ。
米情報当局は、これが、今月初旬にテヘランの国会議事堂やイスラム革命指導者のホメイニ師を祭る霊廟に対してISが実行した攻撃に対する報復の側面が大きいと即座に結論づけた。
別の米政府高官は、今回の弾道ミサイルの使用には、アサド支持の立場を改めて示すとともに、中東地域の米軍とその基地は、イランのミサイルや地上軍の射程圏内にあることを思い知らせたいイランの思惑が込められていた可能性があると見ている。
シリア戦略の策定にあたり、トランプ政権内の意見が分かれている。ISを第1の敵とみなす人々がいる一方で、シリア紛争は、米国とその湾岸同盟国対イランの、生存をかけた戦いと見る人々もいる、と政府のシリア情勢議論に参加したことがある別の政府高官は語る。
トランプ大統領が指名した政権幹部の一部は、イランによるミサイル攻撃は同国政府が地域で抱く野望の表れであり、イランは宿敵となったと主張していると、3人の政府高官は語った。
こうした対イラン強硬派は、シリア戦略として、まずIS打倒に集中し、その後、イランとその同盟相手に矛先を向けることを主張しているという。イランの同盟相手には、アサド政権だけでなく、レバノンで活動するシーア派武装勢力「ヒズボラ」や、イラクのシーア派武装集団、イエメンの武装勢力「フーシ」が含まれる。
(Phil Stewart記者、Jonathan Landay記者、翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)
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 ここで、イエメンが出てくる。
 スッカリ忘れられている大問題なのが、イエメンの内戦。
 これはかなりシャレにならない状況になっている。
 
コレラ死者1000人超す=感染者の半数が子供―イエメン 6/19(月)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170619-00000019-jij-m_est
【カイロ時事】世界保健機関(WHO)は18日、内戦が続くイエメンで4月以降流行しているコレラによる死者が17日までに1100人に達したと明らかにした。
 感染が疑われる患者数は15万8960人。感染者は最終的に30万人に上る恐れがあり、国連は「憂慮すべき速さで感染拡大が続いている」と警鐘を鳴らしている。
 国連によると、感染者の約半数は子供で、大半が栄養失調。国際NGOセーブ・ザ・チルドレンは「35秒間に1人の子供が感染している。制御不能だ」と指摘した。 

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 インフラを破壊してしまっている関係で、どんどん悪化する状況だ。
 しかも、収束の見込みがない。
 この背景はこちらだ。
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イエメンが「空前の人道危機」に喘いでいる
シリア報道の陰で忘れられたもう一つの内戦 中坪 央暁 :ジャーナリスト 2017年04月26日

http://toyokeizai.net/articles/-/169392
「今世紀最大の人道危機」と言われるシリア内戦が続いている。米国、ロシアや周辺国の思惑も絡んで、混迷は深まるばかりだ。他方、同じ中東のイエメンで2年前に本格化した内戦は、シリアのように国際社会の関心を集めることもなく、国民の大多数が食糧不足など深刻な人道危機に陥っている。“中東の最貧国”イエメンで何が起きているのだろうか。
■国連が「前例のないレベルの飢餓」を警告
国連世界食糧計画(WFP)は4月19日、内戦下のイエメンが「前例のないレベルの飢えと食糧不足に直面し、限界が近づいている」と警告し、総人口2700万人の3分の1にあたる900万人への緊急食糧援助が必要だとアピールした。
国連などの援助機関は2015年時点で、同国が人道危機として最も深刻な「レベル3」にあると宣言。データによって若干異なるが、人口の8割近い2100万人が食糧など何らかの人道支援を必要とし、7割の1900万人が安全な水や衛生環境を確保できていない。
そもそも、世界地図のどこにイエメンがあるのか指差せる日本人は少ないかもしれない。イエメンはアラビア半島の南西端、サウジアラビアの南隣に位置し、紅海とアラビア海に面したイスラム教国。アラビア半島の国々は総じて“金持ち”のイメージがあるが、イエメンは国民1人あたりGDP(国内総生産)がわずか1500ドル。世界最大の原油埋蔵量を有するサウジアラビアの2万ドル超とは比べものにならないほど貧しい。
イエメンのトピックスを探すと、コーヒーのモカは同国のモカ港から積み出されたのに由来すること、旧約聖書に登場する「シバ女王国」があったという説があること、首都サヌアの魅力的な旧市街が世界遺産に登録されていることくらいだろうか。
そのイエメンで続く内戦とは何なのか。
世界を揺るがした「アラブの春」(2010~2012年)の流れで、イエメンでも30年以上続いたサレハ長期政権打倒を訴える反政府運動が広がり、同大統領の退陣を受けて、ハディ副大統領が2012年2月、暫定大統領に就任した。しかし、サレハ前大統領と連携するイスラム教シーア派の武装組織「フーシ派」が勢力を拡大し、首都サヌアに侵攻。2015年1月に暫定政権が崩壊し、ハディ暫定大統領は南部の港湾都市アデンに逃れた。
ハディ暫定大統領を支援するサウジアラビアを中核としたアラブ連合軍が同年3月以降、イランの支援を受けたフーシ派への空爆を開始し、軍事衝突が本格化。イエメンを拠点とするイスラム過激派「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)も絡んで情勢が複雑化した。ドナルド・トランプ米大統領は今年1月の就任後間もなく、同政権初の軍事作戦としてAQAPを急襲したが、民間人が巻き添えになるなど失敗したと伝えられる。
本稿の主眼はイエメン内戦の経緯ではない。問題は2015年以降の民間人の死者が1万人以上、難民・国内避難民は最大450万人に上り、冒頭に記したような大規模な人道危機が発生していること。とりわけ1700万人が定期的に食糧を得られず、乳幼児を含む220万人の子供が急性栄養失調、うち50万人近くが重度の栄養失調で死にかけていること。それにもかかわらず、この悲劇に誰も見向きもしないことだ。
シリアと比べてイエメン内戦がほとんど注目されないのはなぜか。

■死者や難民・避難民の数はシリアのほうが多い
戦争や内戦のニュースは、死者や難民・避難民の数、つまり“悲惨さの規模”が扱いを決めるのは致し方ない。イエメン(人口2700万人)とシリア(人口2300万人)の内戦を比べると、難民・避難民はイエメンの450万人に対しシリアが1150万人、死者はイエメンの1万人超に対しシリアは三十数万人におよぶ。すでに6年続くシリア内戦のほうが注目されるのは当然ともいえる。
しかし、別の要素もある。『「目立つ戦争」と「目立たない戦争」がある理由』(ニューヨーク・タイムズ/東洋経済オンラインhttp://toyokeizai.net/articles/-/142287)は、米国人の関心を集める紛争は「米国の国益への直接的な影響や(中略)善人と悪人の対立というわかりやすく感情に訴える枠組みが必要」と指摘。イエメンの場合、対立関係が複雑なうえ、空爆で民間人を殺傷しているサウジアラビアは米国と経済・安全保障面で関係が深く、メディアも世論も特定の“悪者”を声高に糾弾できる構図になっていないと分析する。
こうした傾向は日本の報道にも直接影響を与える。イエメンへの関心を喚起しようと、在京イエメン共和国大使館は4月19日、大手新聞社や通信社、テレビ局などの数人の記者を招いてメディア懇談会を催した。いずれも中東情勢に関する見識や取材経験が豊富な記者ばかりで、イエメン情勢のこともよく知っている。そこに中東が専門ではない筆者も縁あって招待された。
筆者はサミル・M・カミース大使に「日本でもシリアばかり注目されて、イエメン内戦の報道が少ないと思いませんか」とあえて聞いてみた。2014年7月に着任したカミース大使は「他所の紛争と比べても仕方ないが」と前置きしたうえで、こう答えた。
「世界のメディアの関心事はその時々で移ろっていくが、日本の報道は西側(欧米)メディアの見方に影響されていて、記事を読んでコピー・アンド・ペーストではないかと感じることさえある。私に限らず東京に駐在する中東アラブ諸国の大使は、私たちが発する情報ではなく、この国のメディアが欧米の論調に流されることに困惑している」
もちろんイエメン内戦が全く報じられないわけではなく、また、筆者も少しばかり国際報道に携わった経験があるので、“コピペ”という表現にはかなり抵抗がある。しかし、参加した記者のひとりは「欧米メディアがフォーカスするニュースに引っ張られるのは事実。欧米社会で話題になったシリアやイラクのセンセーショナルな写真・映像は日本でも載せやすいが、そもそも日本人の大半はイエメン自体を知らないし、内戦と言ってもニュースになりにくい」と吐露した。これは正直な本音だと思う。

■日本のNGOによる難民支援活動
その一方で、カミース大使は「日本はわが国に対するトップクラスの支援国であり、日本の援助に心から感謝する。日本のNGOがジブチでイエメン難民支援に取り組んでいることも知っている。特定の政治勢力を通じた支援ではなく、保健や教育など人々に直接届く援助をお願いしたい」と謝意を付け加えるのを忘れなかった。
シリアやイラク難民支援と比べると目立たないが、(特活)ジャパン・プラットフォーム(JPF)は2015~2018年、加盟するNGO4団体を通じて総額13億円余りの難民・避難民支援事業(一部は予定)を展開中だ。JPF担当者は「周辺国に逃れたイエメン難民は約18万人に上り、海峡をはさんだ対岸ジブチの難民キャンプにも約3万6000人がいる。食糧や生活物資の配布、安全な水の供給、子供たちの保護や教育支援を実施しているが、イエメン国内は日本人が入れないので、現地スタッフに指示して間接的に事業を進めざるをえない。日本の支援者の方々の関心や寄付もシリア、イラクに集中しており、イエメンの人道危機をもっとアピールする必要性を痛感している」と話す。
日本にとってイエメンは大きな貿易相手国ではなく、さしたる利害関係もない。しかし、イエメン研究の第一人者、アジア経済研究所の佐藤寛・上席主任調査研究員は「日本も支持する『テロとの戦い』の一環として、米軍がイエメンで繰り返している無人攻撃機(ドローン)による攻撃で、多数の民間人が巻き込まれている。これが米国への憎悪と自国政府に対する不信感を増幅しており、結果的にイエメンをさらに脆弱化させ、テロの温床にしていることに日本人も気付く必要がある」と指摘する。
私たち日本人にできることは正直言ってあまり多くないが、まずは知らなければ何も始まらない。

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イエメンはシリアより最悪な状況なのか? 
http://theplatnews.com/p=527
イエメン内戦と飢餓の原因を簡単に解説 むしろ問題はサウジアラビア? 2017/3/6
http://somin.xyz/iemen/


 イエメンはもはや、代理戦争の代理戦争のような内戦状態なのだ。
 欧米が支援している国家が支援しあって対立するという複雑な構造だ。

 さらにこういった状況で混乱する。
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コラム:トランプ大統領が招く中東のさらなる混迷 2017年 06月 19日
http://jp.reuters.com/article/handjani-qatar-idJPKBN1970MW?sp=true
[14日 ロイター] - 中東に平和と安定をもたらそうというトランプ米大統領の試みは、裏目に出た。大統領は、主要同盟国の1つであるカタールを地政学的な危機に陥れ、地域の緊張緩和に向けた自身の政権による努力を台無しにした。
トランプ大統領が最近行った中東訪問の目的は、同じような考えを持つアラブ諸国とイスラエルを集結し、イランに対抗させることにあった。だが代わりに、長年の米同盟国のあいだに分裂を生んでしまった。
トランプ氏が中東を離れるとすぐに、サウジアラビアやエジプト、アラブ首長国連合(UAE)が主導するアラブ諸国が、中東における米軍活動の要であるカタールとの国交を断絶した。カタールとの繋がりを絶つ理由の1つは、同国が、イランを周辺国から孤立化させる必要があるという主張を受け入れなかったことにある。
カタールには、イランに対してより現実的な対応をとるべき理由がある。カタールの富の源は、ペルシャ湾を挟んで北に位置するイランと共有するガス田にある。ノースドーム・ガス田(イラン側ではサウスパルス・ガス田)は、世界最大の埋蔵量を誇るガス田だ。周辺国には、これほど経済的な繁栄がイランとの関係に依拠している国はない。
トランプ大統領は、イランとアラブ諸国のあいだに立場の違いに対処する外交的余地を残さないことで、サウジ王家とともに、米国をイランのシーア派政権との衝突軌道に乗せてしまった。
これは、オバマ前政権が、イランと核合意を結び、湾岸地域における米軍のプレゼンスを軽減することで、(成功しなかったが)その実現を回避しようと努めたことだった。
オマーンやクウェートなどのアラブ諸国もイラン政府と現実的な関係を築いており、オバマ大統領がイランとの核協議を始めるにあたってオマーン国王の助言を得たことが示すように、米政権にとってもその関係は利用価値があることを、トランプ氏は理解していないようだ。
トランプ氏の「新たな」アプローチは、古い考えの焼き直しだ。イランを非難し孤立化させることで、米国の同盟国に平和と安全をもたらすことができるというものだ。
しかしトランプ政権は、最も偏狭な形態のスンニ派イスラム教を世界に輸出しているサウジアラビアに、武器供与を拡大すると約束した。国教である厳格なワッハーブ派をサウジ政府が推奨したことが、イスラム国(IS)やアルカイダなどの過激派組織に思想的な基盤を与えたのだ。
最近のテヘランにおけるISの攻撃は、イランもまた、パリやマンチェスター、ロンドンなどの欧州都市を襲った暴力の標的になることを示した。だがトランプ氏は、様々な思惑が渦巻く中東政策を決めるにあたって歴代米大統領が苦心してきた、ニュアンスや微妙さには無関心なようだ。
米政権がより高性能の兵器を投入しても、イラン政府が委縮することはない。逆にイラン政府は、米同盟国の数分の1規模の国防費を維持したまま、弾道ミサイル開発を加速させるだろう。また、ロシアと中国がイランに武器を売却する機会を与え、地域の軍拡競争が過熱する可能性もある。
さらに、イランの勢力は国境を越え、シリアやイラク、レバノンに及んでいる。イラン軍は、訓練も実戦経験も豊富だ。一方のサウジアラビアは、イエメンの「フーシ派」に対する空爆が2年目に入っても制圧できないでいる。IS戦闘員の出身国の上位5カ国のうち4カ国までが、スンニ派が多数を占める、中東における米国の軍事友好国であることは、偶然ではない。トランプ大統領は、イスラム圏6カ国の出身者の入国を中止する大統領令の立案にあたり、それを忘れていたようだ。
トランプ大統領が、サウジアラビアの言い分を丸飲みすることは、シーア派が主導権を握るイラクにおける米軍の軍事行動にもひどい結果をもたらす。イランの支援を受けた武装勢力が、イラクでISと戦っていることは、公然の事実だ。イランが、イラク政府に強い影響力を持つことも、秘密ではない。トランプ氏の好戦的な発言で、こうした繊細な連携が壊れ、他の中東地域でさらにシーア派を孤立化させることにつながりかねない。
トランプ大統領にとって皮肉なことに、地域を飲み込んだ宗派抗争に対する包括的な解決策を見つけるには、イランとアラブ諸国の協力関係が必須だ。米政府は、軍事衝突なしに、イラン政府に言うことを聞かせることはできない。
トランプ大統領は、アラブの友好国に平和と安全をもたらし、アラブとイスラエルの対立に終止符を打つと約束した。イランと敵対し、地域諸国がお互いを孤立化させるように促すことは、さらに大きな混乱を招くだけで、解決にはつながらない。
*筆者は米シンクタンク、アトランティック・カウンシルのシニア・フェロー並びに、トルーマン・ナショナル・セキュリティ・プロジェクトのフェローを務める。

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 イランやサウジアラビア、イスラエルと言った国家と、これを支援する米露などが混乱を作り上げている状況だ。
 ここに、ISだのアルカイダだのの国家ではない武装組織が台頭し、ごちゃごちゃしてくる。
 もはや、簡単な対立構図ではないのである。

 大本の原因は、欧米露あたりの石油利権や宗教に絡む問題がベースであるが、それ以降、なんだかずっと揉めているのである。
 この理解に、ちょっとこちらを見てみるといいだろう。
 読みやすいので、一読をオススメする。
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なぜ中東では争いが絶えないのか?中東に関する10の歴史的事実 2016年09月13日
http://karapaia.com/archives/52224763.html
中東で民主主義が定着しない「本当の理由」~イスラームをめぐる2つの問題について 末近浩太 2016.05.19
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48643
中東問題がどうしてこうなったか歴史的経緯がよく分かるまとめ
パレスチナ人問題・クルド人問題・ユダヤ人問題が中東においてどのように拡大していったのかをまとめました。 更新日: 2016年10月16日

https://matome.naver.jp/odai/2138032922997955501
 
 こういった中東の方々が民主主義も導入できない人たちだとは思わない。
 もともと、ヨーロッパをも凌ぐ高度な文明を持っていた人たちだ。
 中東もすべての国を知っているわけではないが、訪問してみるとかなり穏健であることはよくわかる。
 アメリカのちょっとした都市より遥かに安全であるし、人々も温和だ。
 彼らの最大の不幸は、原油を産出したことと、メッカに絡んでイスラエル=ユダヤ国家と絡まざるを得なくなったこと、そしてイスラム文化を欧米が全く理解しないことだ。

 原油やイスラエル問題は既に周知だと思うので、文化のところを掘り下げよう。
 カラパイアさんの記事にあるように、中東での国境の線引は大昔の欧米の都合で引かれた。
 その関係で、しばしばまっすぐな線で引かれていたりする。
 しかし、根本的に中東の方々の意識は異なる。

 筆者がこの理解のたびによく用いるのが「日本の戦国時代と似た様相」という表現だ。
 これは中東が遅れているという事を言いたいのではなく、システム的な理解のために用いている。
 彼らは長い歴史の中で強いトップリーダーが集団を率いるという仕組みで生きてきた。
 したがって、兄弟間であっても争って強いものが立つ。
 この跡目の決め方で根本的に異なるのがシーア派とスンニ派だ。
 シーア派はムハンマドの子孫の中から有力な人を選び、スンニ派は敬虔な信徒から有力な人間を選ぶ。
 宗教が根本的に重視され、有力な力を持つ人間を選ぶのは、彼らの長い年月での生活の知恵だ。
 一夫多妻なのも部族の生き残り繁栄のために選択していることだろうし、男尊女卑傾向が見られるのもそれだろう。
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 アラブ人
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%96%E4%BA%BA
アラブ人(アラブじん、العرب،عربي)は、おもにアラビア半島や西アジア、北アフリカなどのアラブ諸国に居住し、アラビア語を話し、アラブ文化を受容している人々。
7世紀にムハンマド(マホメット)によってイスラム教が開かれ、中東・北アフリカを中心に勢力を拡大した。
概要
ムハンマド以前、アラブ人は統一された社会共同体もなく、部族社会を形成していた。部族はたびたび水資源や利権を巡って争い、破壊や略奪といった無法な行為を行っていたものの、戦では詩の優劣で勝敗を決めることがあるという非常に発達した精神文化も備えていた。ムハンマドによるイスラム教の創始以降、イスラム教のもとでイスラム文化は最高潮に達し、イスラム世界では錬金術を原点に各種の科学や数学、哲学が発展し、文学の発展もあった。しかし17~18世紀ごろを境にして、後にヨーロッパで起きた科学革命や産業革命に後れを取るようになった。
「アラブ人」という概念は人種的存在とは言えない。むしろセム語(アラビア語)という言語を共有する人々としてであったり、聖書に窺える、ある人物を始祖とするという共通概念で規定される。アラブ人は旧約聖書に登場するアブラハムが妻サラの女中であるハガルとの間に生ませた長男のイシュマエルを祖とするイシュマエル人の子孫と称し、イサクの次男ヤコブの子孫であるユダヤ人とは別の民族になったとしている。民族的概念と人種的概念が一致しないという点で、アラブ人とユダヤ人は共通するといえる。最初のアラブ人はアラビア半島の住民である(いわゆる「アラビア人」は、イスラム教徒でもある彼等およびその子孫全般のみを指す)が、イスラム教の聖典のクルアーンはムハンマドを通じてアラブ人にアラビア語で伝えた神の言葉とされているため、イスラム教の拡大によってベルベル人やエジプト人、そしてメソポタミア人(イラク人)などの近隣の多くの人々が言語的に同化させられ、アラブ人となった。その後、20世紀初頭にオスマン帝国や欧州列強の植民地支配に対する抵抗運動の中で汎アラブ主義が勃興し、アラビア語話者の間に「アラブ人」という民族意識が補強された。
ただし、キリスト教徒のアラブ人にはアラブ人としての民族意識は宗派によってばらつきがあり、東方正教会の信者には(パレスチナ難民内にも多くの信者がいることもあり)有力な汎アラブ主義指導者(ジョージ・ハバシュなどのように一部は「テロリスト」とされることもあった)になる者もいる。
その一方で、レバノンのマロン派の信者は古代フェニキアの子孫としての民族意識が、イラクなどのアッシリア人は古代バビロニア、アッシリアの子孫としての民族意識が、エジプトのコプト正教会の信者はコプト語の話者であることから古代エジプトの子孫としての民族意識が強い。
現在ではシリア人、パレスチナ人、エジプト人、マグリブのアラビア語系住民、身体的形質の上では黒人とされる人々を含むスーダンやモーリタニアなどの「ブラックアフリカ」におけるアラビア語話者、さらにベルベル系の諸民族やソマリ人などアラビア語以外の言語を母語とする者までがアラブ人として自己規定する場合もある。ただし、典型的なコーカソイドのアラブ人は、ネグロイドのアラビア語話者をアラブ人と認めないことが多い。
ベドウィンなど、遊牧民や砂漠の民のイメージもあるがこれは一面的な解釈にすぎない。彼らは多くの穀倉地帯を抱えた農耕民族でもあり、インド洋を股にかけた海洋民族でもある。イスラム文化は高度に発達した都市文明の産物であり、西欧を中心に発祥した近代科学にも大きな影響を与えている。
中略
主なアラブ人国家
「アラブ世界」も参照
アラブ首長国連邦
アルジェリア - ただし、人口の約20%はベルベル人である。
イエメン
イラク
エジプト
オマーン
カタール
クウェート
サウジアラビア
サハラ・アラブ民主共和国 - ただし、今のところ西サハラに独立国家は建国されていない。
シリア
スーダン
チュニジア
バーレーン
パレスチナ - ただし、今のところパレスチナ国家は建国されていない。
モロッコ - ただし、人口の約20 - 50%はベルベル人である。
モーリタニア
ヨルダン
リビア
レバノン

-------以下略
 
 成り立ちからして、各部族の生き残りをかけて切磋琢磨してきた文化を持ち、いずれも大なり小なり敬虔なイスラム教徒だ。
 それ故、極めて高い誇りとプライドを持つ。
 これを汚されることは、命をかけるに値するものなのだ。
 かつ、生き残りをかけた勢力争いが基本スタイルだから、欧米の協力があれば利用するし、逆にある程度まとめ上げた時にいつまでも欧米と仲がいいと、内部で弱腰腰抜け扱いされることになり、かつて味方してくれた所に反発せざるを得なくなったりする。
 かつてフセイン元大統領がイランにナメられないために虚勢を張ってアメリカに排除されるなんていう流れになりやすいのも、部族のせめぎあい上で起きることだ。

 彼らにとっては、宗教+部族=強い集団が、帰属する組織の形なのだ。
 だからこそ、平然と国家をまたいでISやアルカイダみたいな組織が形成できる。
 一方、民主化がなじまないのも当然だ。
 強い首長が束ねる組織が基本なのに、投票で口先だけの人間が権力を持てば反発は必至。
 特に政治があまりわかっていない連中にも一票があるような状況は、耐え難いだろう。
 また、欧米のような資産家系の強者もダメだ。みんなお金持ってて通用しない。
 そういう文化なんだから、欧米が口出しするものではないのだ。
 しかし、利害関係があるから嘴を入れるわけで、痛し痒しな状況といえる。
 
 もし、彼らの打開策を探すのであれば、彼らに武器を供与しないことだ。
 できるだけ殺傷能力を低くした状態で強い首長を選ぶといい。
 そんなことは画餅でもはや手遅れだから、最低でも代理戦争をしたり武器供与しない、民主主義を押し付けないことが大事なのだ。
 フセイン元大統領のように、言うことを聞かない強い首長を排除している内は、中東の平和は来ない。
 様々な理由で力を貸す>強くなってまとめあげる>反発する>排除する>混乱する>見込みありそうな所に力を貸す>以下繰り返し、なのである。
 結局は、欧米露の問題なのだった。

 了

ガンバレ!日本!!
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