バター不足と官僚 | ヤモリのつぶやき

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日々のニュース解説等をつぶやきます......


 今回はちょっと経路が変わって、食料品のバターが不足して高騰している件。
 先日、Yahooに出ていて目にした記事でちょっと疑問が発生したので調べたら.....ヤッパリ、みたいな話だ。
 これについて、その原因等を明らかにしてくれているサイトがあったので紹介する。

 発端になった記事はこちら。
なぜ“バターみたいなマーガリン”が増えているのか
http://bizmakoto.jp/makoto/articles/1502/24/news020.html
以下抜粋
 農林水産省は「猛暑や離農で乳牛が減って、牛乳優先でやっているもんで……」なんて釈明をしているが、こうも見事にバターだけが市場から消えたのは、関税割当制度に基づく「統制経済」の舵(かじ)取りを誤ったという“人災”の側面もある。

 ご存じの方もいると思うが、国産バターは海外バターに比べてバカ高く、内外価格差は5倍程度とも言われている。このような状況で、輸入を安易に認めたら酪農家もメーカーもバタバタと倒れていく。そこで輸入バターは一定量までは国内価格に見合う関税をかけておいて、国産バターの座を脅かしそうになるや高い関税を締め出すという手法をとってきた。こういう「統制経済」の難点はスピードにある。今回のように酪農家やメーカーがギブアップしてから、慌てて輸入量を増やしても、どうしてもタイムラグが出てしまうのだ。

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 乳牛は生き物なので急に増産したりできないため、天気や病気などで産出量が上下し、減産等も一度してしまえばなかなか戻りにくい。昨年からニュースででている問題の原因は何かしら?と思って農林水産省のださいHPを見てみた。

バター不足に関するQ&A
http://www.maff.go.jp/j/chikusan/gyunyu/butter.html
Q1. なぜバターが不足したのですか。
 A1. 平成25年の猛暑の影響で乳牛に乳房炎等が多く発生したことや、酪農家の離農等で乳牛頭数が減少していることなどにより、生乳(=搾ったままの牛の乳)の生産量が減少したため、バターの生産 量が減少し在庫量が大きく減少しました。
バターの在庫量が減少したため、乳業メーカー等は、安定的な供給を続けられるような出荷量に抑制したことや、供給不安等を背景として家庭用バターを中心に購入量が増加したこと(PDF:248KB)等から、店頭のバターが品薄になったものと考えられます。
 Q2. 牛乳が不足していないのに、なぜバターが不足するのですか。
A2. 生乳は、非常に腐敗しやすいため、まず最も生鮮性が求められる牛乳や生クリームなどに加工され、最後に保存性の高いバターや脱脂粉乳に加工されています。バターや脱脂粉乳は、生乳が多く生産される時は在庫として積み上げておき、一方、生乳生産が不足する時は、バターや脱脂粉乳の生産を減らす替わりに在庫を放出するといった需給調整弁の機能を持っています。
このような生産構造となっているため、生乳生産量が減少してくると、バターの生産量が大きく減少することになります。

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 この段階で腑に落ちなかったので色々見てみると、原因を糾弾している怖いもの知らずのジャーナリストさん達がいるではないか。えらすぎる。

バター不足の怪。牛乳やチーズは山ほど売ってるのに、なぜ?
http://www.excite.co.jp/News/society_g/20141208/Harbor_business_15641.html
以下抜粋
「一言で言えば、バター生産の“北海道一極集中化”という“生産統制”の弊害です。そして、一極集中化を支えているのが “加工乳補助金”という仕組みなのです」
 中略
 農水省のHPで生乳の“用途別取引量”を見てみると、例えば今年10月では脱脂粉乳・バター等向け生乳は全国で約96600トン、うち北海道が約87200トンと全体の9割以上を占めている(一方、北海道産の牛乳シェアは同月、25%強にすぎない)。つまり、北海道以外の地域でバターを生産しても補助金が出ないため、特に付加価値をつけたものでもない限り、競争力の面からバター生産はかなりハードルが高いということだろう。そのため生産する業者も少なく、北海道でバター生産が減少するとたちまちバター不足が生じるわけだ。加工乳補助金の総額は毎年約300億円。これだけの血税を投じた結果が、「バターが消える」では納税者は救われない。

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 ん?どこかで聞いたことのあるような話だぞ。
 そして話はどんどん続く。

バター不足は農水省による「チーズの作らせ過ぎ」が原因
http://www.excite.co.jp/News/economy_g/20141225/Harbor_business_18170.html
以下抜粋
 ここ10年の間に生乳生産量は約1割減少しているが、生乳を原料とする生産物の中で最も大きなウエイトを占める牛乳の生産量は、それ以上の約2割減少となっている。バター・脱脂粉乳の生産量にしても、同じく2割程の度減少だ。つまり、牛乳やバター以外に振り向けられる生乳量は、逆に増えているということになる。
 ここで浅川氏が指摘するのが、“チーズ補助金”という仕組みの存在だ。農水省のHPの「生乳用途別取引数量」を確認してみると、4月以降、5月を除いてチーズ向け生乳の対前年比は生乳全体のそれを大きく上回っている。特に7月から9月にかけてはバター不足の要因が「全国的な生乳不足」という農水省の説明とは裏腹に、それぞれ103%、103.9%、104.4%と、チーズ生産用に前年を上回る量が回されていることがわかる。
「農水省は数年前から国産チーズの増産を謳い、『チーズ向け生乳供給安定対策事業』として、チーズ製造に関わる業者(乳業メーカーや酪農家)に対して、2分の1補助を始めています。また、チーズ向け生乳に対しても随時、補助金が支給されていましたが、この補助金が今年4月から恒常的に支給されるよう正式に制度化されているのです」

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 原因はこんなかんじで、早い話が農水省の自作自演だった。
 その理由がまたすごい。

バター不足の元凶。農水省バターマフィアのセコ過ぎる利権構造とは?

http://www.excite.co.jp/News/economy_g/20150124/Harbor_business_22222.html
「常日頃から国産、外国産を問わず、仕入れルートや商品ラインナップを多様化して消費者ニーズに応えることで、小売り・食品業界は成り立っています。それが先進国における豊かな消費生活の前提です」
 そう語る浅川氏は、それを阻害しているのが農水省の天下り団体「農畜産業振興機構」によるバター輸入業務の独占だとする。
 輸入バターには特殊な関税割当制度が適用されていて、一定の輸入量までは一次税率(関税35%)が課せられ、その枠を超えると二次税率(関税29.8%+1kgあたり179円)が課せられる。ただし、一次税率の対象は600トンと極めて限られた数量で、これは機構が国際航空会社や国際物産展にあらかじめ割り当てるので、普通に輸入しようと思えば、より高率な二次税率を払わなければならない。
 さらに、輸入業者はわざわざ機構にバターを買い入れてもらい、農水大臣が定めた1kgあたり最大806円の輸入差益(マークアップ)なるものを上乗せされた価格で買い戻さないといけないという、不可思議な制度になっているのだ。
 例えば、国際価格500円のバターを1kg輸入したとする。まず関税29.8%プラス179円が課せられる。そこに輸入差益806円を上乗せすると1634円と輸入価格の3倍以上となり、流通業者や小売業者の儲けを乗せれば優に2000円を超える価格になってしまう。これほど高価格では、いくら農水省が緊急輸入しましたと言ったところで、せいぜいどうしても必要な業務用に回るくらいで、とても一般消費者にはとても手が出ない。
 その上、機構は「輸入するバターの数量、時期について、国内の需給・価格動向などを勘案して決定」できる権限を握っているので、仮に民間業者が多少高くてもいいから輸入しようとしても、自由に輸入できないのだ。輸入できるのは機構が実施する入札時だけで、しかも一定の条件をクリアした指定輸入業者しか入札に参加できないことになっている。

 これらの措置は国内酪農家の保護のためといわれるが、実際には何が起きているか。…

「例えば、多様なバターが自由に生産・調達できないため、諸外国と比較して日本ではマーガリンのシェアが異常に高くなっている。つまり、その原料となる米国トウモロコシ農家を安定して潤わせる政策であり、国内の酪農保護とはむしろ正反対の結果を生んでいるという側面があるのです」(浅川氏)
 また、実のところ「農畜産業振興機構」の仕事といえば、書類を右から左に流すだけ。それだけで巨額の収益を得ていることになる。農水省によれば24年度のバター輸入量は4千トンで、農畜産業振興機構に入った輸入差益は約23億円あったといい、緊急輸入が行われた昨年は1万3000トンだから、その約3倍の“儲け” があったと考えられる。輸入差益は酪農家への助成に使われるとされるものの、農畜産業振興機構の15人の役員の大半は農水省OB及び出向者で、理事長の報酬は1672万3千円、一般職員の平均年収も665万円と、国家公務員平均を上回る高給を得ている(平成25年度)。農水省にとっては、実においしい利権となっているわけだ。

「この団体設立の大義名分は酪農家保護ですが、実際には消費者、バター関連業者、さらには酪農家にも厄災をもたらす厄介者です。百歩譲って本当に農水省がバターの国家貿易が必要だと信じているなら、農水省本体がやればいいこと。なぜ民間開放の流れにかこつけて独立行政法人に仕事を回すのか。いずれその天下り団体で自分たちが高給を得るためなのです」(浅川氏)
 農水省は酪農業の保護を謳って行う偏った補助金制度や輸入制限によってバター不足を生じさせている割には、現実には生乳生産量や酪農家の戸数は年々減少している。にもかかわらず、それを理由にバターが足りませんというのはあまりに矛盾してはいないか。その一方で、自分たちの生活の安泰だけは頑なに守ろうとする。そのツケが消費者に回ってくるのではたまったものではない。
「解決策は実にシンプルです。輸入利権を廃止し、バター輸入を自由化するだけなんですから」(浅川氏)

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 従前の話とも噛み合ってくるわけだが、酪農保護を名目に行政法人に意味不明なことをさせて儲けさせ、天下りでかじりまくっているわけだ。チーズネタだけにトムとジェリーバリの可愛いネズミのつもりだろうが、やっていることはドブネズミに近い。
 自分らが美味しい思いをしながらアメリカを喜ばせ、緊急輸入で対策しましたと見せかけて高いバターを売りつけて上前をはね、国民や酪農従事者を苦しめる。
 きっと晩酌はカリフォルニアワインにチーズでも食らってるんだろう。

 本当に日本の官僚システムは、日本完了システムだ!と言いたくなる。
 民主党も血道を上げてくだらない政治とカネの話を繰り返している暇があったら、こういったまともなところを突っ込めばよいのだ。農林水産省なんだから、まさにど真ん中の追求だ。
 政権の支持率をとイメージを下げることばかり考えているから、まともな政策ができない連中だと思われているのだ。
 だからこそ、政治や行政に不信感が抱かれ、なんの説得力もないわけだ。

 日本の野党に説得力やまともな議論は1ミリも期待できない。
 官僚に自浄努力や改善もほぼ無理だ。マスゴミも大手はまともになんて報じない。
 国民としては、こういった記事で状況を知らせてくれるちゃんとしたジャーナリストや、官僚の嫌がらせに動じないメディアを大切にしていくしかないのである。


 了


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