『BOX 袴田事件 命とは』
願わくば、己の身には、振りかからぬことを・・・
心の底からそう思ってしまった。袴田事件と呼ばれる冤罪が疑わしい45年近く前の事件。こんな出来事があって良いのか?
生きている意味なんて、生まれてきた意味なんて、本当にわからない。
神様はいないよ。
無罪と確信がありながら死刑判決を書かざるえなかった熊本元裁判官が、「俺は殺人犯と一緒っちゃ・・・」と言うくだりがある。
その通りである。
法曹界の重圧が掛り、30歳そこそこの青年では逃れられない選択だったとしても、特異な立場な裁判官としては、やはり絶対にしてはならない決断だったと考える。
だからこそ、熊本元裁判官は悩み悩み抜きながら、その後の人生を送っている。
「袴田さんのことを一日たりとも忘れたことはない」と彼がインタビューで語った新聞記事を以前読んだことがある。
彼が感じる罪の重さを思うと涙が出る。劇中でもそういうシーンがいくつかあった。
しかし、もっと辛いのは、いまもまだ獄中にいる袴田さんご自身とその家族であろう。
この長い道のりを思うと、まったく吐き気がする。
STORY
新進気鋭の裁判官である熊本が担当した事件の容疑者は袴田巌という元プロボクサーだった。