「楽しかった。この時代に生まれてよかった」
ボーヤン・ジンがフリーで世界で初めて四回転を4本成功させたのは1年前のこと
だが今回はトップ3が4本をクリアしてしまった。ネイサンは5本だ。
四回転の種類や本数への注目はますます加速するだろう。
そんな時代を誰よりも早く予感し準備してきたのは他ならぬ羽生選手だった
ソチで2種2本を目指したことは良く知られているが
ソチ後の羽生戦略は彼の先見の明の凄さを物語る。
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4回転2種2本+3Aコンボ2本 (宿敵パトリックは4T1種2本だった )
羽生「4Tを2本入れると重複できる3回転がなくなってしまい
最後に2アクセルを入れることになる..それではかなり基礎点が下がってしまう
4回転を2種類にしておけばジャンプの基礎点が全然違う
今シーズン跳ばなかったらなんのために昨シーズン4サルコウに挑みつづけたのか、、、。
自分が持ってる武器はすべて跳んでやる」(王者のメソッドより)
ソチ五輪 4S/4T/3F
3A-3T /3A-2T /3Lp/3Lz-1Lo-S/3Lz
羽生選手のこだわりは4回転だけではない。
芸術的な美を誇り高得点になる3A。そのコンビネーションをソチ前から今日まで
必ずプログラム後半に入れている。
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五輪王者のこだわり
「プログラム後半の4回転」
ソチ五輪が終わり五輪王者として初めて迎える2014-15シーズン
羽生選手はオーサーコーチにこう告げた。以下「王者のメソッド」より
「僕は去年と同じ自分ではいたくない。
今シーズンはとにかくフリーの後半で四回転を跳ぶ
3A2本と4回転の連続ジャンプもすべて後半にすれば
この構成をできる人は世界に他にはいない」
それは前代未聞の挑戦内容だった。
後半に入れる「3A-3Lo-3S」「3A-3T」「4T-3T」
のどれもが前半に入れることさえ難しい大技である。」(野口美恵文)
2014GPファイナル優勝!!!
こうして挑戦は始まったがそこから苦難の道が始まった。
後半の4回転のコツをつかむにはパート練習ではだめだった。
彼は曲かけの通し練習ランスルーを激しく行い結果腰を弱めフィン杯欠場をよぎなくされた
その後中国杯のアクシデントで彼の挑戦は中断。それでもファイナルで完全復活し圧勝!
全日本後の入院中も再び挑戦しようと試みて焦りが捻挫に繋がってしまった。
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4回転2種3本+3Aコンボ2本
2015ファイナル4S/4T/3F
4T-3T/3A-2T /3A-1Lo-3S/3Lo/3Lz
そして翌2015-16シーズンついに彼の願いはかなう。
2015年300点越えのNHK杯SEIMEIだ!
フリー後半の4回転に成功それまでのいばらの道に光がさした瞬間だった。
挑戦から2シーズン目に訪れた後半の四回転の成功。
その幸せはバルセロナまで続く。
しかし血の滲むような練習はリスフラン靭帯を酷使していた。
世界選手権後怪我が判明した後に彼が「次は後半2本を目指します」と言ったとき
リスフランはどうなるのかと私は青ざめた。
だが彼は加療とリハビリに専念し昨年9月見事に復活したのである。
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そして今季前半の2本に加え後半に2本入れることを宣言。
1本の成功までの長い道のりを想うと今回の2本成功は本当に感慨深い。
”前半2本後半2本”悲願の4本が達成できたことに大きな大きな拍手を送りたい。
練習の質も高められ休養の大切さも学んだことも本当にうれしいことだ
4回転3種4本
「ネーサンのジャンプは確かにすごいが、
2017四大陸 4Lo /4S /3F
2S1Lo /4T /3A-3T /4T-2T/ 3A
四回転を4本以上入れるとしたら後半にも入れざるを得ない
彼にとって難しかったその試みをソチ後から取り組んでいて
本当に良かったのだと胸をなでおろす。
.そして僅差の闘いでは1.1倍の加点が大きな助けになるだろう
それは彼が自分で考え提案した「羽生戦略」だった。
今回怒涛のリカバリーで4回転4本を成功させた羽生選手
いつもの3Aの連続ジャンプが1つできなかったことを振り返った
2Sに1Loヲつけてしまったので残る連続ジャンプは二つしかできなかった
だがこれも今後のリカバリー戦略の糧となる
そして大きな連続ジャンプのミスがありながら技術点112とは凄いことだ
4S-3Tは練習では何度も曲かけで成功しているそうだから
本番でできれば自己ベストを超えることは間違いないだろう
無謀とも見えたプログラム後半の四回転戦略
今それは必須のものとなった。
ソチ後の高揚のなかで彼の頭にひらめいた戦略が
今彼の進化を押し上げている
羽生選手の先見の明に脱帽だ
またジャンプの質が大切なことも
羽生選手命名の言葉「真・四回転時代」効果で広まりそうだ
Please stay Healthy ! ! !