Agruss // Morok
1. Damnation
2. Morok
3. Punishment For All
4. Fire,The Savior From The Plague
5. Ashes Of The Future
6. When The Angels Fall ★
7. Under The Snow I
8. Under The Snow II
9. Under The Snow III
ウクライナのブラックメタルバンドによる初フルレングス。
完璧です。ジャケットは真っ黒なチルボドっぽいけど気にしないであげてください。
ブラックメタルの持つ禍々しさや狂性を体現したバンドと言えば、Deathspell OmegaやMayhem、Silencerなどが挙げられます。
このバンド初となる今作も、それら先達に引けを取らないとんでもないものだと断言します。
例えばDeathspell Omegaに通じる神秘性や密室性、Mayhemに漂う悪魔的な猟奇性、SilencerやBurzumらが持つ破滅的で頽廃的な狂気、加えて初期Alcestらポストブラック勢の無明の美しさ。
それらを全て混ぜ合わせて、DissectionやEmperorのように寒々しく破壊的なリフで破壊力を増している。
今作を乱暴に表現すると、そういうありえない作品です。
さらに、落ちたら這い上がれない奈落のような部分はMournful Congregationらフューネラルドゥーム、Sunn))oのようなノイズ/ドローンの暗黒感を彷彿とさせます。
また、上記のバンドの要素を感じさせつつも、そのどれでもない個性があることからして素晴らしい。
音質はRawで、ドラムがもこもこしていますが、分離が悪いというわけでもありません。
極めて暴力的な彼らの音像に合った音質です。
スラッシーなリフが基本のギターですが、緩急自在に曲を行き来しており、非常に暴虐的なギターにもかかわらず、残響は妖艶で美しい。
リフの引き出しも多く、チューニングに頼りがちなこのジャンルの中でも、耳を引くフレーズを幾つも仕込んできます。何より凄いのが、ギターソロの悪魔的とすら言える美しさ。とことん耳をいたぶったところで差し込んでくる美麗かつ蠱惑的なソロ!完全に昇天させられます。
楽曲自体も基本的に7分や8分超えのもので構成されており、9曲で約66分というところからもわかるように大作志向です。
ですが、展開が緻密で時にテクニカルデスのようなギターが織り交ざったり、荘厳で邪悪なメロディーを爪弾いたりと飽きさせることはないです。
また、ブラスト主体のドラムですが、曲によっては2ビートを織り交ぜたり、結構多彩です。
Voは2人いて、高音の喚き声と極低音のグロウルの二層構造になっており、おぞましさを強調することに長けています。
面白いのは、高音喚きはディプレッシヴブラック、低音グロウルはブルデスのような感じであるということ。
そのため、起伏の激しい展開と相俟って時折SuffocationやMorbid Angelのようなズルズルドロドロのデスメタルの要素も顔を出します。
吹き抜ける風の中で鳴り響く流麗なギターが突如牙を剥きファストブラックと入り乱れるM-1、鬱ブラの如きダウナーで重たいギターと美しい残響を活かしたギターが絶妙に絡み合い爆走しながらもうっすらと立ち昇る音色が幽玄的で美しいM-2、一転ファストブラックの速度とブルデスの圧殺感で殺しにかかってくるM-3、フューネラルドゥームを彷彿とさせる真っ黒なイントロから爆走パートに入ると狂的な暴力性を振り撒く印象的なリフが拝めるM-4、キリキリと締め上げるように震わされる弦が唸りを上げ激しく狂おしい悲痛に塗れた饗宴を披露するM-5、タイトルからもわかるように組曲として織り上げられた約30分のプログレッシヴブラックM-7,8,9は不穏なSEから重厚に進軍していく儚さを漂わせるM-7、灰の吹雪を思わせるブラストビートとノイズで突進と静寂を繰り返すM-8、14分間の無明の闇を仄かに美しいギターと絶望的な断末魔で埋め尽くしたフューネラルドゥームM-9で構成されており、「何だこれ」と思わず呆然とする9曲。
中でも、妖しげなメロディーで宗教的な空気を演出する邪悪極まりないM-6がお気に入り。
リフも勇ましく物凄くかっこいいのですが、非常におぞましい。
展開もやたら目まぐるしく、プログレッシヴと言っていいと思います。
重たいリフと毛穴が開くような悪魔の喚きと呻きに脳髄がおかしくなります。「あっ、あっ」
終盤のカミソリのような切れ味のリフとかたまんねえです。
凄まじい傑作だと断言します。
どんな負を浴びたらこんな凄まじいものが作れるのか気になるところです。
残念ながらAmazonでは置いていないですが、Bandcampから飛べるレーベルウェブストアから簡単に買えます(Paypal要)。後、iTunesにもありますね。
これは、ブラックメタルを愛する方々、デスメタラーの方々には是非とも聴いていただきたい一枚です。
私の中では、ブラックメタルのアルバムで5本の指に入るほど気に入った一枚となりました。
人の心胆を芯から寒がらせる黒々とした灰が吹き荒れる作品。
その特性から言えば、誰にでもお薦めできるものでもないのだけど、とりあえず聴いていただきたい。
(2012年発表)
満:★★★★★★★★★★ (10/10)
薦:★★★★★★★★★☆ (9.5/10)











