彼の声 2010.12.29 | 彼の声

彼の声 2010.12.29

voice-82
唐突に何を述べようとしているのでもない。
語ろうとしていることとは違うことを語り、
思っていることは何も記さず、
絶えず何かがずれていると感じるが、
やはりそうではないと思うしかないのか。
言葉が有効活用されて、
そんな幻想を抱きつつ、
意識はそこにとどまらず、
他の何かにいついて説明しようとするが、
そこから逸脱したいのだろう。
大したことはない。
同じことを繰り返すのに慣れきっているのか。
そんなことはないと思うしかないらしい。
クロスワードパズルを解いてる気分にはなれず、
さっきまではそんなことなど何も思わなかったのに、
今はそのことで頭がいっぱいか。
だからわからなくなる。
やはりそうではないと思いたいようだ。
くだらぬことを述べるべきでない。
別にそれを実践しようとしているわけではなく、
何も思いつかない現状をどうにかしたいだけだろう。
まだ早いか。
何がそうなのか。
その辺で耐えられなくなっているようだ。
たぶんそんなことを思うべきではないのだろうが、
とりあえずはそれを記すつもりのようで、
実際にその中で何かいい加減に語ろうとする。
心の空洞に響き渡るような声を想像できず、
何ももたらせずに何かをあきらめていた頃、
そこで都合良く病にかかり、
長期の休養を強いられ、
何かを狙いすぎていたことを反省してみるが、
たぶん君にふさわしいのは、
そんな物語ではないことに気づいたのであり、
それがフィクションであることを考慮せずに、
どこかへのめり込んでいく気になっていたのが
危ない兆候だったのか。
今ではすべてが架空の話だ。

そんなわけで危うく誰かの物語にはまりそうになっていたらしく、
意志の力でそこから抜け出たつもりになって、
さらに外れた言葉を記しているようで、
でたらめに関係のないことを思い、
意識を思っていることごとに細分化して、
分割したそれぞれの意識に違ったことを考えさせ、
全体としてまとまりを欠いたままにして、
それをどうするわけでもなく放置しながら、
外部から偶然の巡り合わせを利用して、
何かの機会を捉えて不意打ちを食らわせ、
それで何か利いた風なことを述べてしまうのを避け、
そんなふうに語っている現状をどうすることもなく、
何も述べているのでもないように装い、
たぶんそこが腕の見せ所とかいう勘違いを醸し出して、
事なきを得ようとしているのかもしれないが、
言説がそこにとどまれるはずがなく、
たぶん何か具体的な事象について
語らなければならなくなるのだろう。
そのうちそうなることを願って、
今はさらにどうでもいいようなことを述べ続け、
そこから何らかの結論に至るのを、
先延ばしにしようとしているのかもしれないが、
そう都合良く事が進むとは思えず、
とりあえずの結論を提示しながら、
それが真の結論ではないと但し書きのような真似を施し、
そんな見え透いた嘘をわざと何かの行間に差し挟み、
それで万事が丸く収まり、
滞りなく事が運ぶような印象は得られないだろうが、
何かの間に合わせのごとくに、
いいわけのような効果を期待しつつも、
それも何かの冗談だと保険をかけておき、
それで何が通用するとも思えない、
というさらなるいいわけも添えておき、
要するにわけがわからないふりをしているわけか。

見え透いたことを述べすぎて、
少々疲れてきたようだ。
それはないだろうということを語りすぎた感もあるようだが、
それで何がどうなるわけでもなく、
やはりいつもの白々しいいいわけかもしれないが、
実際に体験しているのは、
具体的な事実に基づいた言説からは遠ざかり、
空想の世界から降ってくるイメージを、
言葉でつなぎ合わせて、
文章を構成することに慣れきっていることが、
現実の世界を見えなくしているのか。
その代わりにありふれたことを述べているではないか。
誰もが思っていることをそのまま文章にしている。
それが本来の在り方か。
それの何が本来なのかわからないようだが、
とりあえずの結論としては
そういうことを述べておいてかまわないのだろうか。
たぶん正解だと思われ、
それ以外はあり得ないとも思われる。
だが意識して何を語っているわけでもないのだろう。
何よりも文章としておかしく、
それが意図する意味がわからない。
何か君は荒唐無稽なことでも考えているのか。
ありふれたことをいくら考えても、
埒が明かないのはわかっており、
何か画期的なことを考えつこうとも思えないが、
とにかく闇雲に思考を巡らせ、
偶然の巡り会わせに期待するのは、
ちょっと虫がよすぎて、
正解にたどり着く確率も低いだろう。
しかしきっかけとしてはそういうことを期待するしかなく、
何かのきっかけで思いつくことを願って、
絶えず考え続けているのかもしれない。
だが結果としては何にたどり着いているわけでもなく、
それは何かの途中経過だと思い込もうとしているようだが、
もしかしたらすでに手遅れとなっていて、
それに気づくまでには、
まだこの先相当の歳月を要するのかもしれない。

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