「五代友厚」像 with大阪証券取引所 ① | 北浜・西天満で働く弁護士のブログ

「五代友厚」像 with大阪証券取引所 ①

大阪・北浜に関わるニュースでしたので、本当は震災前の11日朝にご紹介したかったのですが。


東京証券取引所と大阪証券取引所が経営統合に向けて協議に入ることが9日、明らかになった。

東京、大阪という地域別の枠組みを見直し、東証、大証それぞれに上場する商品を株式、投資信託など現物取引所と、先物などデリバティブ(金融派生商品)取引所に再編する案が有力。東証が今年秋にも株式を上場、来年の統合を目指す。規模の拡大で経営効率を高め、日本の証券市場の国際競争力の向上につなげる。

(3月10日付け日本経済新聞朝刊1面「東証・大証 統合協議へ 現物株・先物に再編 来秋めど 国際競争力高める 東証、今秋に上場」より)


東京証券取引所 (本社東京・日本橋兜町

 日本最大の証取。上場企業の時価総額は3.8兆ドルで世界3位。2001年に株式会社に。07年に持ち株会社化。自社株の上場を目指している。10年3月期の営業収益(売上高)は606億円。


大阪証券取引所 (本社:大阪・北浜

 金融派生商品の取引で国内最大の証取。主力は日経平均先物で、現物株も扱う。04年に自社株を新興市場ヘラクレス(現ジャスダック)に上場した。10年3月期の営業収益は230億円。


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大阪証券取引所


統合のメリットは?


・現在、現物株やデリバティブについては、同じ商品でも東証と大証が別々の取引システムを運営している。

これを商品ごとに一元化すると、証券会社がそれぞれの取引所に手数料を払わなくてもすむ。投資家の取引コストももそれだけ低下する格好


・株式に流れ込むマネーが一つの取引所にある真れば、上場企業も低コストで資金を調達しやすくなる。複数の市場に重複上場している企業は増資の際の手数料を減らせる

(以上、3月11日付け日本経済新聞3面「世界の証取再編にらむ」より)


・システム投資のコストを減らせる。取引システムに対する投資家の要求が高まり取引所の負担は重い。東証と大証はそれぞれ現物株とデリバティブのシステムを運用しているが、一元化すれば費用を抑えられる。資金を新たなシステム投資に回せば投資家の利便性も高まる。


市場運営会社の経営規模を拡大できる点だ。ジャスダックに上場している大証の時価総額は約1200億円、東証は2000億円前後と推定される。海外証取との資本提携を考えた場合、交渉を有利に進めるためには「時価総額で5000億円規模はほしい」(東証幹部)という。

(以上、3月11日付け日本経済新聞5面「アジア中核市場へ布石」より)



日本の取引所が、世界的な取引所再編のなかで生き残るには、統合によるメリットとして挙げられる、システム投資の効率化やデリバティブ取引の強化は必要不可欠。

また、東証・大証が統合しても、その先には世界の取引所との統合もあり得るため、その際に有利に進めるための準備をする必要。


今後、今回のような災害があり仮に東京のシステムに障害が起きても、統合により大阪のシステムが利用できるといった、相互補完が可能であれば、統合の必要性は高いと思われます。

だとしたら、早期に統合に向けた準備をして、国内外の投資家に対し、「日本の証券市場が健全であり、むしろ統合により発展していく。」ことを、積極的にアピールしていくべきかと思われます。


大証側も「やるなら3か月以内に基本合意まで行きたい」、「できるだけ早期にイノベーション(革新)が起きる形で進めることが大事だ。」と前向きな姿勢を示しております。

(3月10日付け日本経済新聞夕刊1面「合協議月内に 両社長が前向き姿勢」より)



しかし、統合の方法には両証引の思惑に違いがあるなどの理由で、調整に手間取る可能性もあるようです。

東証の斉藤惇社長は10日、「まず上場を(統合より)先にやらなくてはならない」と語った。東証の株主は取引参加者の証券会社約110社。既存の株主に約束した東証の上場計画は遅れており、今秋にも上場を実現してから大証と統合協議を始めたい考えだ。

一方、大証の米田道生社長は「直ちにやった方がいい。1年後などでは時間軸が遅すぎる」と述べた。大証は上場前の東証株を現金で買い取る統合方法を想定しているもようだその場合は大証が東証を形式上買収する格好になるだけに、東証側は受け入れにくい

(3月11日付け日本経済新聞朝刊3面「統合の方法 曲折も 東証は今秋上場を優先」より)



もし震災後も、各々の証取の面子を重んじて物事を進めているのであれば、直ちにそのようなつまらない面子や思惑を捨ててほしいと思います。

戦後最大の災害による惨禍により、日本の経済は危機にさらされているのであるから、先ほど申し上げたように、可及的速やかに統合し、世界市場に健全性をアピールすることが重要かと思います。


大阪証券取引所の前には、

大阪証券取引所の前身である「大阪株式取引所」を設立した、


五代友厚


の銅像があります。


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東京証券取引所の生みの親は、渋沢栄一


東の渋沢 西の五代



私が調べる限り、渋沢栄一と五代友厚がお互い直接会って話したことがあるのか、分からなかったのですが。


今回の東証・大証の経営統合の動き。

あたかも、彼らが、今の日本の証券市場の危機をいち早く案じ、互いに手を差し伸べたかのように思います。


ところで、五代友厚は、大阪以外の人間には馴染みが薄く。

いったい、どういった人物なのでしょうか…。

3月21日ブログ「「五代友厚」像 with大阪証券取引所 ② 」に続きます。