九州の沖合いに浮かぶ無人島・鼎島。
島の廃墟で男性三人の変死体が発見される。
遺体の死因はバラバラで、生前、当人同士の面識があったのかもはっきりしない。
また、三人はそれぞれ、何を意味するのかがわからない記事の切り抜きを所持していた。
謎多き事件を前に、二人の男が鼎島を訪れる。
なかなかジャンル分けの難しい作品を書かれる恩田陸さんですが、本作は普通の推理小説と呼んで差し支えないでしょう。
冒頭部分の書き方や、無人島の廃墟という舞台設定はとても謎めいていて魅力的なんですが、後半部分は正直「え?これでもう終わり?」と少々拍子抜けしてしまうような展開でした。
死因に関しても、理論的にはともかく、現実的に考えるとちょっとリアリティに欠ける気がします。
個人的には作品の雰囲気と描かれている謎のバランスが取れていなかったように感じました。
本作は150ページ程の短い作品なんですが、さすがにこのページ数では恩田さんの良さが伝わりきれないのではないでしょうか。
恩田作品の中ではちょっとお薦めできない部類ですね。
ホトケ的採点
ストーリー:11
登場人物:11
文章:13
その他の要素:12
総合:47