朝、帰宅した ねこ が廊下で甘ったれたような声で「ィアーォ、ニァーォ」などと鳴いたかと思うと、フスマの端を少し開けて上部を断熱材で塞いだ「猫専用通用口」から寝室に入ってきた。


鳴き声から、毛球症か、あるいはエモノを持ち帰ったか、と家族が、すかさず寝室に入ると、床の上に5センチぐらいの茶色いものがゴロン、と転がっていたのだそう。


新聞紙を一枚とり、そのものを包むようにして乗せると、すでに昇天した茶色いネズミ…ハタネズミ(ノネズミ)…で、気がつくと ねこ が取り返そうと目を爛々と光らせて足元にいたのだが、家族はすぐにエモノを新聞紙で包み、薪で焚く風呂窯に直行した。


ねこ はしばらくの間、自分がエモノを置いたあたりのニオイをかいだり、探したりしていたが、やがて居間に来て、手作りゴハンの一食目を食べ始めた。


充分な食事をしているからか、食べ終わる頃にはエモノがなくなったことなどすっかり忘れて(?)またどこかへ出かけていった。