居間に入った家族は、よそのオス猫「赤首輪」が少なくとも居間にいるのに驚き、「コラッ!」と一喝した。「赤首輪」の方はもっと驚いたにちがいない。


まだ開いていた扉から必死で脱出して行ったというのだが。


居間へ入るには、廊下からふすまの端を少し開け、上部を発泡スチロールの断熱材で塞いである「猫専用通用口」に最近取り付けたカーテンを頭で押して入らなければならないはずだが、今日はたまたまその通用口の上の断熱材が外れ、猫が一匹通れるぐらいの穴が開いていたので、そこから侵入したらしい。


「赤首輪」は幸いにもまだカーテンを突破できないでいるらしい。かれが部屋への侵入方法…カーテンを押して入ればいいのであるよ…を学習する前に、戸外から母屋へ入る「猫専用出入り口」にも色の濃い布を一枚取り付ければ、少なくとも「赤首輪」侵入方法をあみ出すまでは夜も猫専用出入り口を ねこ のために開けておけるかもしれない、といよいよやってみることにした、と家族がずいぶん乗り気なのであるよ。


家族は、廊下の足元にある高さ30センチほどのサッシに布のカーテンをどうやって取り付けるつもりなのかしら、筆者はこちらの方にむしろ興味があったりして。