夕方近く「趣味の菜園」に出て、越冬中のまだ小さいニンニクやタマネギの周囲に這いつくばっている雑草を草削りしようとクワを持って歩きかけると。


どこからともなく ねこ が追いついてきて、というより飼い主の横をすり抜けて全速力で「菜園」目がけて駆け抜けていき、突然立ち止まり、「菜園」の手前に生い茂っている青草に体を隠すように伏せてこちらの様子をうかがっているので、思わず噴出しながら「そこにいたの、(早く走っていくので)スゴイ、スゴイ」などと話しかける。


草むらに伏せてこちらを見ていた ねこ は筆者があと二、三歩のところまで近づくと、急にまた全速力で駆け始め、今度は小麦のウネのはずれまで行き、地面に沿うように短い葉を伸ばしている小麦の葉をかじっている。


飼い主はやっと追いつき、持ってきたクワで ねこ のいる小麦のすぐ脇にあるソラマメやエンドウの小さなウネの草削りを始め、わき芽を伸ばして株立ちになりかかっている元気のいいソラマメや、寒さに縮こまっているエンドウに土寄せをしていると。


ねこ は少し離れた堆肥の山の上にかぶせたトタンが飛ばないように重石として乗せてある古タイヤの上に…見晴らしがいいのでしょうねぇ…前足を立てて座り、飼い主の作業をしているのとはまったく別の方角を向いている。


タマネギ、ニンニク、小麦のウネの草削りを薄暗くなるまで続けた飼い主が足元が暗くて見えにくくなったので作業を終えて家に入ろうと勝手口に戻りかけると、ねこ は後ろから追いついてきた。そういえば、古タイヤの上を見て、ねこ がいないことは確認したけれど、まだ近くにいるかどうか探さずに戻ってきてしまったかしらん、などと。