朝、ねこ はコタツでうたた寝をしている筆者の頭の周囲を徘徊してドライ・フードをねだっていたのだが。布団を持ち上げると一旦は中に入ったのだが、通電してコタツの中が温まってきた頃に外に出て行った。


やがて家族も起き出して我が家の朝が始まり、筆者が勝手口から外に出てペットの鶏たちのために小屋の扉を開けようとしたら、ねこ がそばを通りかかった。


口に薄い灰色のものをくわえている。すぐに ねこ をつかまえると、灰色のものは体長5センチほどのモグラだった。


後ずさりして手からすり抜けようとする ねこ を何度もつかまえなおしては口の両脇から指を入れてエモノを放させようとするのだが。


何度目かに、ねこ はエモノを口から放した。すかさず ねこ を抱き上げて勝手口から家の中に入れ、台所から廊下への扉を開けてやり、筆者はお風呂の薪窯の焚き口にあった新聞紙を持って外へ引き返し、エモノを包んでそのまま焚き口に入れた。


哀れなモグラはすでに昇天してはいたのだが、まだ体は温かく、硬直もしていなかった。かれらが持っているかもしれない寄生虫が ねこ にうつらないように、つかまえてきたエモノは取り上げて昇天していれば風呂窯に、無傷ならば少し遠くに放してやることにしている。


一方 ねこ は、筆者がモグラの処理をちょうど終えたところにやってきて、エモノを放したあたりをしきりに嗅ぎ回っている。少々カワイソウだけれど、健康には替えられないから、と「すごいねぇ、どこで捕まえてきたの?」などと話しかけてみる。