珍しく朝飼い主たちが起き出す頃まで ねこ は家にいた。早朝、まだ暗いうちにニャーニャー鳴いて誰かを起こし、ドライ・フードを出してもらって食べ、出かけていて飼い主たちが起きる頃にはいないのが ねこ のにちじょうなので「ここしばらくはなかったことだね」などと家族と話しながら、一食目の手作りゴハンを準備する。


朝まで家にいた ねこ は、手作りゴハンができるまでピアノのイスの上にいた。ゴハンができる頃に台所の扉まで来て、ニャーニャー鳴きながら足にまとわりついて歩き、いつもの場所にうつわを置くとすぐに食べ始めた。


しばらくあとで。


玄関の外で ねこ の声が聞こえる、と扉を開けると、ねこ が往来への進入路にいて、こちらを向いてニャーニャー鳴いている。


外へ出ると、ねこ は進入路を右へ左へ行ったり来たりして、飼い主を誘おうとしているらしい。ねこ のそばに行くとゴロンと横になるので頭や背中を撫でるのだが。


後で思い出したのだが、しばらく前の暖かな午前中に、陽だまりにいた ねこ の毛皮の手入れを進入路のコンクリートの上でしたことがあった。その時は前日に誰もブラッシングをしてやらなかったことを思い出したからだったのだが、ねこ にはとても心地よかったのかもしれない。ねこ は、「ブラッシングをして!」とねだっているつもりなのかも。


そういつも時間があるわけではないのですよ、午前中は何かと忙しいので、と ねこ にどう説明したらわかってくれるかしらん。