朝、可燃ゴミを出しに行く。ねこ がどこからともなく現れて、玄関先に停めてある車の下に寝そべっていたのだが、飼い主の顔を見ても背中を舐めているばかりで出てこようとしない。辺りが朝露で湿っていたからかも。


ゴミを出しに行った帰り、ねこ が全速力で駆け寄ってきた。家から筆者まではまだ数十メートルはある。


ねこ は筆者の足元に来ると、ニャーニャー小刻みに鳴きながら下に伸ばした手に頬、耳の後ろ、額、鼻の横、あごの下、唇の辺りを擦り付ける。やがて気が済んだのかゴロンと横になった。


「来たの? ヨシ、ヨシ、ヨシ」とか何とか話しかけながら背中やお腹を撫で回す。ねこ は道の真ん中に横になっているので、前方・後方を気遣いながら、とはいっても果樹園の中を走る農業用の車両がごくたまに通るぐらいなので、まあ大丈夫だろうとは思うものの。


朝のあれこれが待っている。そろそろ、と「お家、お家、行くよ!」と話しかけて歩き始めると、しばらく横になったままだった ねこ はまもなく全速力で追いついてきた。


またゴロンと横になったので背中と頭の辺りを撫でる。二度、三度繰り返しながら、家の進入路まで来た。ねこ は今度は連れ立って侵入路を下り、玄関の扉を開けると真っ先に中へ飛び込んでいった。後から入ると、ねこ はすでに居間にいて、一食目の手作りゴハンが来るのを待機している。