夕方になると ねこ は大抵毛皮の手入れをしてもらう。というよりは、飼い主たちが午後のコーヒーで一服したり、仕事を一応終えて居間に集まってきたりするので、ねこ がいれば誰かが柱の猫ブラシを取って毛皮の手入れをし始めることが日課のようになっているということかも。


そのことがよくわかっている ねこ はだいたい外が薄暗くなる頃に帰宅しするか、どこか屋内にいても居間に戻ってくることが多い。


今までも、誰彼となく家族の顔を見上げては「ニャーン」などと甘ったれた声で鳴いたりはしたものだが。


最近はずいぶんそのディスプレーが露骨になってきたような気がする。


ねこ は家族がコタツに座ったりパソコンに向かったりしていていっこうにブラッシングをしてくれそうにないと思ったのか、通常はテーブルの上に上がるのはご法度になっているのだが、コタツの天板の上に上がり、柱にかかってるブラシを見上げて「ニャー」と叫んだのであるよ。


家族は柱から猫ブラシを取り、笑いながらブラッシングをし始めた。「ずいぶんものをはっきり云うなぁ」などと言いながら。