早朝、まだ夜が明け切っていないころのこと。


台所で片付けなどをしていると、外でどこかの猫がサカリのときのようなヘンな声で鳴いている。それも、母屋のすぐ近くから聞こえるような気がする。


夜中に室内にまで侵入してきて我が家の ねこ のゴハンをきれいに食べていってしまういくぶん小柄なオス猫「赤首輪」か、ずっと大きな黒っぽい「トラ」かもしれない、とことさら大きな音を立てて勝手口から飛び出してみた。


母屋のすぐ脇にある柿の木の、大人の背丈ほどのところから大きな太い枝が出ているのだがその二股になったところにいたのは、我が家の ねこ だった。


戻すときに、ときどきしゃがれた悲鳴のような大きな声を立てることがあるが、その声だったらしい。


まもなく背中を大きく波打たせて戻すと、全て上手に地面に落ちた。ならば。幸いにもペットのニワトリたちはまだ小屋の中にいる。かれらがチョッカイを出さないように、掃き集めて処理をしてしまう。


ねこ は気分がよくなったのか、木からするっと降りて足取りも軽くどこかへ出かけてしまった。毛皮の洗濯をしたばかりで抜け毛が多くまた毛球症気味かもしれない。帰ってきたら対策用ペーストを舐めさせておこう。